2019年08月28日

ウコン缶で作るマイクロCHSアルコールストーブ

ウコン缶で作るマイクロCHSアルコールストーブ

6年前の2013年に一度、ウコン缶でCHS-Uにトライしました。


とにかく加工性が悪い缶だし普段飲むことも無いし中途半端で終わったまま。今回の再チャレンジは、実は別の工作でキャップ部分が必要になって、余った下側を捨てるのが忍びなくという消極的な理由からでした。ところが久々にやってみるとなかなかどうして思うような炎が得られず、結局中身を捨ててまで何缶も消費することに。試作品たちの様子がコチラ


ようやくすったもんだのなんだかんだで及第点が与えられる性能に到達出来たので、一応これでマイクロCHSは終了ということにします。


備忘録を兼ねて作り方を公開します。例によって個人で楽しむ分にはいくらでも真似てもらってOK、でも売るのは禁止。特にメルカリID
Bold☆official は絶対真似すんな


使うのは直径45mmの小さなボトル缶で俗に言うウコン缶。それを3缶使います。
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でも"ウコン"を商品名に使っている缶は、底の形状が丸くて加工しにくいから、メガシャキとかマカとか乳酸飲料系の缶が良いです。
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塗装剥ぎは任意で。炭酸や珈琲飲料缶に比べて塗装が厚くて硬いです。真鍮ブラシとかじゃ歯が立たない。私はスチール製ホイールブラシで削ぎ落としたあとに真鍮とナイロン・ヤスリを使って仕上げてます。
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トップ・パーツの缶底斜めの部分は接着のために剥いでおく。
インナー・パーツは見えないところだし任意で。
アウター・パーツは気合で(笑)

切り出す前に ↓ のように予備作業しておくと後が楽です。
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トップ・パーツの開口面を穴あけ作業しておく。胴体部分を3cmくらいで切って接着工程の治具にする。
インナー・パーツは底のカドの部分にクリース付をしておく。

切り出した各パーツ。
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トップ・パーツの開口直径は35〜36mmが良いです。35mmより小さいとCHSを名乗るのがはばかれる起動時間になるし、36mmより大きいと30ccの燃料が10分もたない大食いになってしまう。しかしこの穴あけ加工が難しい。缶底をヤスリで削る方法では38mmくらいで大きすぎる。私はコンパスカッターでできるだけ大きく開けておいて、その後軸付き砥石を使って地道に拡大しました。
インナー・パーツの上側は、缶底をヤスリで削る方法でくり抜いた後、さらに削って開口直径を広げています。またクリースは15〜18が良いでしょう。この作例は15クリースです。
各パーツの切り出し高は、トップとインナーを重ねた高さがアウターより1〜2mm低いくらいです。

トップとインナーをJB-Weldで接着します。接着無しで隙間を無くすのは至難の業ですから。治具の使い方は動画を参照してください。接着後にジェット孔と短冊の加工をします。
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ジェット孔は 0.7mm X 6。0.5mmで下穴を開けてから0.6mmで角度付け。最後に慎重に0.7mmに広げました。
スリット・スカート(短冊)は、嵌合前に折り目を付け、一旦真っ直ぐに戻しておくと嵌合時にスジが着きにくいですよ。
アウター上部は焼き鈍しておきます。安全性と見た目のために折り返し処理をしていますが、かなり密に嵌合されているので、折り返さず高さを合せてヤスリがけしておくだけでも十分です。



6年越しでようやくマイクロCHSのバランス点(あくまで私の個人的嗜好を満たすだけ)を見つけ出すことができました。
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でも炎の美しさが riku さん作の Micro Hoop Stove(CHSじゃない)に及ばないんだよなあ。
posted by tetk at 07:13| Comment(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月04日

ジェット炎を最も簡単に強くする方法

ごくごく普通の副室加圧型/オープンジェット・アルコールストーブの、ジェット炎をちょっと大きくする簡単な方法です。ただし簡単なだけあって性能が大きく改善されることはありません。せいぜい1割増かな。高性能版がお好みならコチラを。
ま、きれいに作るちょっとした tips をいくつか盛り込んでますので、その辺をメインに見ていただけたら良いかと。



一応blogとして文章でも解説しておきますね。

使用する缶は限定です。
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トップ側に伊藤園から出ているタリーズのボトル缶、ボトムにはジョージア系のボトル缶を使用します。微妙に直径が異なっていて、かん合のためにボトム側を折り曲げたり、それが原因でかん合時にスジが付いたり膨らんでしまうことが無いのです。
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こんな感じでキレイに組み合わせられます。
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ボトル缶だと主室(バスタブ)の穴あけ作業がやりにくいので、最初に上の方でカットしてしまった後、コンパスカッターなどでやるといいと思います。そのときキャップ側のパーツをはめ込むとなおいいですよ。
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主室の直径は32mm以上をお薦めします。それ以下だと特に低温時に点火後すぐ酸欠で消えてしまうことが多発します。直径が大きいとジェット噴出(本燃焼)までかかる時間が短く、かつ燃焼時間も短くなります。逆に小さくすると本燃焼まで時間がかかり、かつ燃焼時間が長くなります。火力は単位時間あたり燃やす燃料の量に比例するので、前者のほうが強くなります。
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ジェット孔は1〜1.2mm径で16〜20個が良いですね。副室の内圧がそれほど高くないオープンジェットの場合、1mm未満では孔の通過抵抗が大きすぎると思います。まあこれはジェット数とも相関関係があるので何がベストかなんて一概に言えないのですが。
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99.99%の人がボトムもトップと同じ高さに切ると思います。でも内壁の高さがちょっと足りなかった時など、かん合でボトム缶が内側へ凹んで変形してしまうこともありますね。2〜3mm小さく(低く)しておくとそんな心配からも開放されます。
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"ダブルウォール"の名のとおり、内壁を2つ作ります。
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この寸法はトップ・パーツを31mm高(3cmの木っ端にカッター刃を付けて切っているから)にした場合のものです。"37mm"/"30mm"の部分がトップ・パーツ高によって変わります(横幅はこのままでイケるハズ)。

内壁は缶の胴体部分を使います。
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カッティングシートに貼り付けてカッターナイフで切ると作りやすいですよ。
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両端の留め方は写真と同じになるように、動画を参考にしてください。
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内壁円筒を重ね合わせたら、振動で外側のヤツがずれて来ないようステープラーで固定しましょう。ムシの位置までアルコールを入れられるという目印にもなります。
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底側に燃料の通り道を開けます。私はせいぜい一箇所でいいと思うんですよ。残燃料が少なくなったときの圧抜けも起こりにくくなりますから。ヤスリで削ったり、一穴パンチで半円を開けたりすれば良いと思います。
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各パーツが完成したら最後のかん合です。
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胴体部分に「ベコベコ」した触感もない完成が期待できますよ。
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暇を持て余して磨いてしまった(笑)
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磨くと指紋や吹きこぼしで即座に汚れて、綺麗なときとの落差が激しいんですよね。手間もあるけどその落差を嫌って私はヘアライン処理程度の塗装落としに留めているんです。でも自作品に思い入れを込めて磨いてニンマリするのもアリかな(笑)

ただのオープンジェットなんで、特に難しくも無いと思います。どうぞ楽しんでくださいね。

CHSなどは真似て売ることをお断りしていますが、これは販売してもかまいませんよ。ダブルウォールの出典(パクリ元)を添えてもらえると嬉しいです。
posted by tetk at 11:43| Comment(9) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月01日

ダブルウォール・オープンジェット・アルコールストーブ

だいぶ前にYAOJとか気化ターボ内蔵型でやったことの亜流。

ごくごく普通の副室開放型とかオープンジェットと呼ばれるタイプのアルコールストーブで、ジェットから出る炎をちょっと大きく力強くする方法の一つです。ポイントは副室開放型を作る手間とほとんど変わらないこと。もっとも手間を掛けずにジェットを大きくする方法だと認識してもらってOK。見た目も普通版と全く同じですよ。



普通版を作るときにも大いに参考になるだろう tips を含んだハウツー・ビデオも制作する計画です。
posted by tetk at 14:54| Comment(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月07日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その4 ダブルコイル編

トランギア・アルコールストーブのキャップにコイルを3個も付けたことがあって、ソイツは熱くなると火柱を噴き上げる恐ろしい奴でした(笑)。前回は6mm径2本足で火力アップを図ったけど背高が難点でした。

今度は背低で実用的な高さにしつつ、パイプ径細化による火力低下をダブルコイルでカバーします。火力はもちろんシングルよりダブル、ダブルよりトリプルが勝るわけだけど、燃料キャップまで缶底に付けると流石にトリプル化は底面積が足りません(無理やり実装してもメチャクチャ使いにくくなる)。
ダブルコイルの範囲で、大好物のアブナイ匂いのするストーブをやってやろうというわけです。ところがこれがなかなか難しくてソートー難儀しましたよ。昔から存在する燃焼方式で、コイルの固定法以外何も新しいアドオンもないのにここまで苦労するとは・・・トホホ。

何が難しかったか?
  • 太缶底にコイルを2個並べるには6mmパイプじゃ無理
  • ネジを切るため内径2mm外径4mmのパイプだとウィックにCFが使えない
    (径が細すぎてカーボンフェルトは挿入できない)
  • ウィックの素材や挿入方法などいろいろ試す
    ケブラー糸 : 吸い上げ率が悪すぎてX
    タコ糸 : 吸い上げ率悪し、パイプとの隙間に敏感すぎて再現性もX
    網銅線 : そもそも2mm径に通せない
    スチールウール : 太さの均一化が難しく再現性悪し
    麻ひも : パイプとの隙間に敏感
  • シングルとダブルコイルで特性が変わってくる
  • 無負荷なら良く見えても、ポットを載せると豹変する
    輻射熱によるタンク加熱で内圧上昇
    4mm化で低背化も図った分輻射熱の影響も受けやすくなった
現存する試作機たち。
たったこれだけと思うかもしれないけど、それぞれ数回に渡ってウィックを変えたりコイルを替えたりしてるんですよ。
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ジャム瓶みたいに加熱の影響を受けにくいタンク素材の方が楽でしょうね・・・ゴムシール部分の耐久性が課題になるけど。
言ってみればバランス探しの旅だったわけで、一応の完成を迎えたのがコチラ。
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3ヶ月前くらいから出回り始めた平らな缶底を利用してるんだけど、最近この缶が入手困難になってきた。どううやら元の凹形に戻っているみたい。あと数個しか作れないだろうなあ。

写真じゃわかりにくいけど、燃料キャップの位置をオフセットさせてるんですよ。その方が回しやすい。
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ケブラー芯は吸い上げが悪すぎて使い物にならず。
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最終的に麻ロープを採用。耐久性は百数十回の燃焼テスト後にバラして抜いて確認したけど問題なし。適度な隙間を再現性高く確保するためにいろいろノウハウがあるのです・・・シングルとダブルじゃ同じじゃないし・・・負荷時/無負荷時の差も大きいし・・・。当面詳細を公開するつもりは無いですよ(笑)

金属の、それも熱伝導性が良い極薄アルミのタンクだから、着火後2〜3分でタンク内でも沸騰/気化が始まる・・・すると内圧が上がってジェット噴出がますます強まる。コイルジェットは兎にも角にも風に弱いから風防で囲おうとするとそりゃ恐ろしい状態に・・・。youtubeで公開したモデルは一応ギリギリ耐えられる設定にしているけど、それでも全周360°ではなく風上側へ180°まで、かつ、ポットと3cm以上離していることが利用条件の一つ。他にもクッカーは直径 15cm まで、鉄板で焼き肉など100℃以上になる調理不可といった制限が必要だろうなあ。

最後に動画を。

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ダブルは利用制限付きで数個販売するかも。シングルは・・・。

posted by tetk at 14:19| Comment(2) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その3 剛火力編

前回は、オートウェルドを使わずにコイルジェットを実現する、根本的な解決法を公開しました。でも一本足のシングル・ウィックだったので、私好みの強火じゃなかったんですよ。そこで二本足ダブル・ウィックへアップグレードです。

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製作のキモとなるパイプ。
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特殊な工具はネジを切るダイスだけだから、前作の一本足バージョンよりハードルは低いかも。前はタップまで必要だったしねえ。まあコイルを曲げ終わる前にネジを切らなきゃならないのが難しいかな。

もちろんパイプの固定にJB-Weld(オートウェルド)なんて使ってませんよ。
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いつオートウェルドがひび割れて炎が吹き上がるかビクビクする必要はありません。安心して、安全に、長〜く使えます。売って儲けたいならこれくらいはやって欲しいよね。


個人で作って使って楽しむ分にはいくらでも真似してOKですよ。
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2018年07月22日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その2 実機編

接着剤の耐熱温度問題を回避する一つの方法・・・それは接着剤を使わないこと。簡単でしょ?

発想が簡単なソリューションでも、万人に作れるわけじゃないことを最初に断っておきます。それなりの工具を持っている人限定です。ま、詳細は動画を見ていただくとして、一言で言ってしまえばパイプにネジ切りすれば接着剤なんて要らなくなるということ。


ある特定の環境での実験結果だけでOK/NGを判断するのは危険です。前エントリーでも書いたけど、密閉型ストーブの動作は環境にすごく影響される・・・例えば夏の直射日光の下、熱くなるアルミ板の上、カルデラコーンで完全に覆った状況、大きめのフライパンを風防で覆う環境(パンからの輻射熱が大きい)。組み合わせたらそりゃ恐ろしいでしょ。熱暴走もありえるし、暴走しなくても想定以上の火力になってしまう。だから根本的な解決策を考えてみりゃいいと思いますよ。私の頭じゃネジ方式くらいしか思い浮かばなかったけど、もっと工作が簡単で万人向けの方法があるかもしれない。そういう案を是非研究して公開してくださる方はいませんか?

最後にもう一度。
パイプにジェット炎を当てる方式で、パイプ固定にJB-Weld(オートウェルド)を使った物は、遅かれ早かれ破綻する

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2018年07月20日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その1 背景

ジェット炎を銅/真鍮パイプに当てる方式について、これまでも問題点を提起してきました。

昔のパイトーチのように丸めたパイプからジェットを噴出させる方法や、ブラストバーナーのようにタンクから噴出させたジェットをパイプで受ける方法などが含まれます。
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パイプからジェットを噴出させる例

最大の問題点はパイプの固定および隙間の密閉に使われる接着剤にあります。有名なJBWeld(オートウェルド)の耐熱温度は300℃ですね。炎の温度は500〜1000℃くらいでしょうか。アルコール炎もバスタブやカーボンフェルトからただユラユラと上がる温度と、内圧をかけてジェット噴出させた温度が異なります。試しにアルミ素材(融解点は約660℃)を炎にかざしてみてください。溶け方で違いがわかると思います。

さて、アルミも溶ける700℃は超えていそうな場所からパイプ続きで2〜3cm離れた接着場所の温度を想像してみてください。軽く300℃は超えていそうですよね。ただしこの温度は周りからの輻射熱、燃料残量、ストーブ筐体のマスの大きさなどに大きく影響され、一定ではありません。もちろん内圧が上昇して噴出が強まれば温度も上がるわけです。ある特定環境での試験結果が、様々な環境や状況での結果と同じではありません。
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タンクから噴出させる例1

以前も書きましたがブラストバーナー開発時に、JBWeldから始まって耐熱1200℃くらいまで一般に入手可能な接着剤を片っ端からテストしました。耐熱温度が上がると固定力(接着力)や強度が弱まる傾向があり、必要な耐熱と強度を両立するものがありませんでした。ちなみにJBWeldは炭化してひび割れて隙間からガスが漏れ出て引火します。(FREELIGHTは接着剤メーカーと協業して解決しているので念の為)
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タンクから噴出させる例2

遅かれ早かれJB-Weldは ↓ こうなります。
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焦げて割れてボロボロになったJB-Weld

まあ個人で作って楽しむ分には、特性を理解して気をつければいいし、寿命が来たら作り直して愉しめば良いと思いますよ。これぞDIYやMYOGの醍醐味ですからね。でも耐久性もなんとか持たせたいと考えますよね。耐熱1500℃とかで接着力が今と同じの「スーパーJBWeld」が出てこないかなあ(笑)

とまあ背景がかなり長くなりましたが、次回は私なりの一案を公開したいと思います。
posted by tetk at 06:13| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月15日

WALRUS ZOID2.0

今から約20年前、1990年台のウォーラス・ゾイド2.0。2001年にMSRへ吸収されるブランド末期までカタログモデルでした。1980年台中頃に Orbit から始まったWalrusのテントはビジネス的に少し苦戦していたようで、90年代に縫製工場を韓国へ移します。白/黄または白/緑のフライシートで黒のフロア生地のモデルは、韓国製と思って間違いありません。

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ZoidはMSRになってからも2007年頃まで名前を変えず、いくつかのコストダウンと変更が加えられてラインアップされていたモデルです。「ウルトラライト・シリーズ」という製品グループで、まあ当時としてはそこそこ軽量な部類でした。でもダブルウォールで1kg未満のテントも当たり前になってきている現在では特筆するスペックじゃないですね。
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 ZOID
 1.01.52.0
フロア面積1.86u2.42u2.79u
前室面積0.65u0.63u x 20.67u x 2
最大高81cm86cm99cm
足元高38cm41cm41cm
重さ1.53kg1.81kg2.13kg

Zoidには1.0、1.5、2.0の3種類があり、2.0が一番大きな2人用です。今更この重さと仕舞寸を担ごうとは思わないので、居住性が一番良い2.0を入手。
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足元2箇所のペグを打ってないけど8角形のフロア形状。ペグ打たなきゃ立てられないし(ビビィ型だから当然だけど)、必要本数も多いから、簡単だけど面倒な設営かな。
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ポールはDAC。
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ZOIDの良いところは横側に出入り口があること。1.5と2.0は左右両側にドアを装備。
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MSR版では頭側のフック(下写真の奥側)の上側2個が省略されてますね。それと足元側(下写真の手前側)のフックの位置も変更されています。
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マットは半身用。2人でも充分な広さ。ただし高さ的には厳しいかな。
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ジョージ〜〜〜!
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山のテン場じゃスペースを取り過ぎて正直迷惑だろうと思いますよ。
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雨には弱いと思う。スリーブの高さの割にフライと幕体の隙間が狭い。ちょっとした風で接して結露した水滴がメッシュを通して落ちてくるでしょうね。フライのシームテープはバッチリだけど、メッシュテントの宿命。
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後ろにもジョージが(笑)
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トンネル型テントの中じゃ格好良くて使い勝手も良いと思いますよ。
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前室は広そうに見えるけど、閉めた状態でのスペースはあまり無い。
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頭側左右下のメッシュポケット。
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頭側上部のメッシュポケット。MSR版はここにジッパーを付けてフライシートの通気孔を触れるように変更されています。
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ボブ・スワンソン(2016年没)がBig Agnesのテント・ライン・マネージャをしていたけど、トンネル型は作らなかったですね。
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コイツの中だけで完結する、車で行くミニマルなキャンプってのをやりましょう。以上縁あって我が家へやってきた極上コンディションのZOID2.0の紹介(自慢とも言う(笑))でした。
ラベル:テント WALRUS
posted by tetk at 09:17| Comment(2) | 道具系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月14日

使う人を選ぶアルコールストーブ FREELIGHT BLAST Burner 開発秘話

FREELIGHTから発売されているBLAST Burnerです。
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アルコールストーブへの先入観、既存概念あるいは常識を打ち破ることができているでしょうか?

積極的な公表を控えてきましたが、師匠のJSBさんの仲介でFREELIGHTの高橋さんと知り合い、少しづつ深みにハマり・・・(笑)その縁があって開発に携わることになりました。軽く1 年以上の月日がかかっています。

プロジェクト・スタート時に”お題”として言い渡された要件をザックリまとめると下記 2 点。
  1. 徹底した燃焼効率の追求
  2. 既存アルコールストーブの概念を覆す
1 の効率に関しては、FREELIGHTのblogエントリー「2016.08.18 FREELIGHT BLAST BURNER(ブラストバーナー)開発のお話」を参照してください。

一方、2 番めの既成概念を覆すという"無理難題"には、なんとも途方に暮れたものです。ではアルコールストーブの既成概念って何だ?というところから始めました。
  • アルコールストーブは静か
    ガソリンストーブみたいに爆音を出すことができれば・・・。
  • アルコールストーブは風に弱い
    ジェット噴出力が弱いため風に炎が棚引いてしまうということが理由の一つ。
    ジェット速度を極限まで上げれば強くなるかも。
     内圧を高める
     ジェット数を減らす
     速過ぎると千切れて消し飛ぶ
  • アルコールストーブの炎は昼間に見えない
    炎に色を付けるか。
    音で確認する手もあるかも。
ここから過去に製作したり経験したことを総動員し、作っては壊しを繰り返す・・・方向性がようやく見えて原案が出き上がったのが2015 年。さらに特性を把握するための試作を繰り返し、バラツキを減らす加工方法のトライアンドエラー、部材の耐久性テスト・・・などなどを経て⻑期テストへ・・・ここでも問題が出て改良と部材メーカーと折衝・・・最終型の耐久テスト・・・長くて結構たいへんだった・・・。
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私のこのblog、youtubeinstagram を見ていただいている皆さんの中には、数年前に公開していた「爆音系アルコールストーブ」を覚えている方がいるかもしれません。あれはBLAST Burner開発初期段階のものだったんです。当時の記事/動画を探してももう見られないです。欠陥が見つかったため非公開にしてしまいましたから。そう言えばあれを真似てblog/youtubeなどで公開したりヤフオクで売っている人もいるみたいですね。でも止めたほうがいいですよ。使ううちに穴が開いて事故の原因になります。

ここでハッキリ明言しておきます。試験機でいろんな計測をして、専用部材を開発できたFREELIGHTだから完成したんです。
  • BLAST Burnerと同じものを自作することは無理です。
  • 市販の接着剤で使用に耐えるものはありません。
  • BLAST Burnerを買って楽しんでくださいませ。
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BLAST Burnerは密閉加圧型のストーブです。動作としては自己熱でアルコール燃料を気化させて、気化ガスを燃料タンクに戻して加圧して、ジェット穴から噴出させる。噴出速度が速すぎて炎が消し飛んでしまうのを、パイプに当てることで防いでいる・・・というものです。
OPTIMUS 123Rのような動作と言えばわかりやすいかもしれません(気化ガスを戻すところはちがう)。123Rも過加圧になるとブローオフバルブから噴出して減圧しますよね。でもBLAST Burnerにそんなバルブは搭載できないので、使う人が注意してやらないといけないんです。
キャニスタ型ガス・ストーブもガス缶が熱くならないように、風防で全周を囲むようなことはしちゃいけないですよね。BLAST Burnerも密閉型の宿命である過加圧や過加熱による暴走や変形を防ぐため、風防で覆うことはできません。

このように、使う人がそれなりに気を使ってやらなきゃならない子なんです。使う人を選ぶ上級向けアルコールストーブ・・・そんなBLAST Burnerを、用法を守ってぜひ使いこなしてください、
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posted by tetk at 08:16|  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月03日

EASTONテントポールのショックコード交換

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このスクリーンショットを見て「懐かしいなあ」と思ってくださる方は古くからのありがたいご贔屓さん。

HP開設から約 10 年、今から 7年前にコンテンツの大半を削除しました。それまで使ってた有料サーバの契約更改をしないタイミングでしたね。別の場所へ移して検索にかからないよう設定して、かつ、パスワードロックをしてますから、ごくごく親しい数人しか閲覧できません。このポリシーは変える気がないので悪しからずです。

先日、イーストン・テント・ポールのショックコードが伸び切って・・・という人を見かけました。補修方法がわからず途方に暮れている様子。それで古いコンテンツのリメイクをした次第。



イーストン製ポールの場合、ショックコードはティップ(石突き)に結ばれているのではなく、ジョイント用の細いパイプ・スリーブの外周に引っ掛かって止まるようになっています。一方DACポールはティップ(石突き)にショックコードを結ぶ方式です。

作業としては、最初にポールの中間点でショックコードを切ってしまいます。

スリーブは接着剤で固定されているだけ。一番端のポールのジョイント部を軽く炙ってペンチでジョイントを引き抜きます。弱火のトーチで5〜10秒炙れば充分です。またあまり強く挟みすぎるとスリーブが変形してしまうので注意しましょう。軽く掴んで引っ張ればジワジワ抜けてきます。

ティップも接着剤固定なので炙れば引き抜けますが、固さが桁違いでまったくダメな物もありました。ジョイント部を抜くほうがかなり楽でキズも付きにくいです。

EASTONポールでは必ず中間のどこかにジョイントが無いセクションがあります。抜いてバラバラになったポールは、順序が変わらないように注意しましょう。物にもよりますが、折りたたんだときに全セクションが均一になるようセクション長が調節されている場合があります。

さ、これでもう大丈夫でしょ!
posted by tetk at 11:02| Comment(2) | 道具系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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