2020年01月19日

350ml ボトル缶で作る アルコールストーブ

珈琲などのボトル缶を利用したアルコールストーブを、ネット上でときどき見かけますね。
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缶の上側をインナーに、下側をアウターにして、ひと缶で簡単に作れそうというのが理由みたいです。
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かん合も楽だし、最初にトライするには手頃かな。

ただ燃焼画像/映像を拝見すると、例えば外炎タイプならこんな感じでジェットがチョロチョロだったり、
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内炎タイプだとジェット炎は何処に?ってな感じのボヤっとしたものだったり・・・。
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作ってみて「アレ?こんなはずじゃ・・・」とか「アルストなんてこんなもんか」とか「自作の腕が・・・」とか思ってしまうひともいるかもしれない。

でも悲観するなかれ。誰が作ってもこんなもんなんです・・・このタイプは。



350mlボトル缶の約63mmの直径が、そのまま”オープンジェット”のオープン面・・・つまり開口面になってしまってるからなんですよ。

このタイプは副室加圧型と言います。
@ 目で見える真ん中の部分(バスタブ)のアルコールに着火して
A アルコールの温度が上昇して
B 沸点の約70数℃になって
C 隠れている副室内でも気化が始まって
D 副室内が気化ガスで満たされて
E 副室内の圧力が高まって
F ジェット穴から気化ガスが噴出して
G そのガスに引火してジェット炎となる
という動作手順を踏みます。

このとき
● 開口面が広いと沸点に達するのが早い
● 開口面が狭いとなかなか副室内気化が始まらない
という性質があります。

ジェット燃焼の効率だけを考えれば、入れたアルコールが沸点を保ち続ける程度の燃焼が開口面(≒バスタブ)で行われていれば良いわけです。また副室の面積が大きい方が気化量も増えてジェットが力強くなります。
ところがボトル缶利用のこの形だと、必要量よりかなり多くバスタブ燃焼があります。副室面積も初めの頃ほど狭い。

バランスが悪いんですよ。

ボトル缶の上下を使うのなら、直径53mmの細缶の方がバランスが良いです。といってもなかなかその缶が最近販売されてないんですけどね。ファミリーマート扱いの日本酒缶(日本盛 サケボトル で検索)が全国的には入手しやすいかな。

これじゃ「チ〜ン」「終〜了〜」ってなってしまう(笑)


まあ開口面でもあるバスタブ燃焼に負けないだけの副室内気化量を増やしてやれば良いのですよ。


で、チョイと手を加えたのがコチラ。外炎タイプはキク科の花っぽく見事なジェットでしょ?
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コイツは鍋を直接載せることもできます、私しゃ嫌いだけど。



内炎タイプは如何せんバスタブ炎が盛大なんで難しい。それでもジェットが確認できて炎を回せるほどにはなったでしょ?
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350ml ボトル缶をこういう構造で使うオープンジェット型は、元々主室(バスタブ)と副室のバランスが悪い。でもちょいと手を加えるとココまで改善できて性能アップを図れるよ・・・というお話でした。動画を見てもらうのが一目瞭然かな。
posted by tetk at 14:20| Comment(2) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月27日

2019年最大の失敗作

今年膨大な時間と結構な費用をかけて製作し、結局うまく動作しなかった失敗作です。

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昨夏〜昨秋にかけてコイルジェットの小さいやつをやっていましたね。

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ
その1 背景 その2 実機編 その3 剛火力編 その4 ダブルコイル編

そのころからパーツの組み合わせ、構造、製作手順などの検討を始め、3月ごろからは部材の調達と各パーツの試作に入り、8月にようやく部材が揃って本製作を開始しました。

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もちろん火は点きますよ。しかし求めるような火力に程遠い・・・。
原因はわかっています(これは公開しませんよ)。解決策も2つほど思いつきましたが、実装と現場での操作性を考えると現実的でない。

平成から令和に跨る長い課題になりました(大袈裟!)。

新年が良き年になりますよう。1年間のご愛顧ありがとうございました。
posted by tetk at 05:31| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月28日

ただ小さいだけのアルコールストーブ

たまに無性に作りたくなるただ小さいだけのアルコールストーブ。何の工夫もなければサイズ以外の特長もありません。うんざりするほど立ち上がりが遅いし、実用性も劣るし、嫌いなサイドバーナーだし。複雑で工作が面倒な物ばかりやっていると、反動でこんなものもやってみたくなるのです。

posted by tetk at 07:35| Comment(1) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月13日

キャップのできるトルネード・ウィック/パイプ・ジェット・アルコール・ストーブ

2009年頃にウィック/パイプ・ジェットを初めて作りました。GYRO-TOP Alcohol StoveとかNO-PARKING Alcohol Stoveなんかです。ジェット噴出が始まる速さに感動したものです。

それが超凶暴な Tornado Wick Jet へ続いてデチューンした安定版のPetal stove へと至ります。さらにパイプを曲げない Hoop Stove を経由して、最終的にウィックまで廃した CHS が生まれました。

eCHS は、パイプ・ジェットの起動の速さを保ったままトルネード炎を得ようとしてあがいた結果ですね。

で、今回は CHS ファミリーの原点とも言えるウィック/パイプ・ジェットに立ち戻って、蓋付きで燃料を入れたまま持ち運べるトルネード・ジェットへ取り組みました。前にやった キャップ付き CHS の密閉性がイマイチだったこともあります。とはいえワタクシ的には蓋付きである必要性を何も感じていないのですが・・・。

前置きがすごく長くなってしまったのでとりあえず完成版を。


実はコレ、いろいろあったアイディアのプランDです。A〜C案はボツでした。ボツ案には何かしら新しいアイディアがあったんですけどねー・・・。結局、燃焼方式とかの技術上は完全トラディショナルなもので、何も新しいものはありません。

作り方はこんな感じ。


パイプの固定方法は見た目重視で作業性無視。例えばパイプ同士を細い針金で結わえてしまうとか、JBWeldで側壁に接着するとかの方が簡単です。でもそれじゃ格好悪いんで(笑)

それと使うパイプ径は、外径4mm内径3mmが下限です。ボツC1案で外径2mm内径1mmのキャピラリチューブでウィック無しにトライしたけど、パイプ内で発生する爆沸現象のせいで安定しませんでした。C2案で3mm/2mmへ太くしてウィック有りにしても、吸い上げ量不足で力強いジェットが得られにくいのとジェットの角度付が超難しく、再現性が悪いままでした。

キャップ付き CHS よりは密閉性と耐久性が向上していると思います。飲み口も少し焼けにくくなったし。

スチール缶の塗装を剥ぐとすぐ錆びるし、そのままじゃ見た目がアレなんで、アルミ缶が若干太いことを利用して化粧版を作成。それだけじゃつまらないからポットサポートも組み込んでみました。キャップの開閉がしやすいかなと思って、本体から少し離しています。この取り付け方は新しいかな。


ストーブ本体は真似て売っても構わないですよ。ポットサポートの取り付け方をパクるのはNGだけどね。
posted by tetk at 10:04| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月28日

ウコン缶で作るマイクロCHSアルコールストーブ

ウコン缶で作るマイクロCHSアルコールストーブ

6年前の2013年に一度、ウコン缶でCHS-Uにトライしました。


とにかく加工性が悪い缶だし普段飲むことも無いし中途半端で終わったまま。今回の再チャレンジは、実は別の工作でキャップ部分が必要になって、余った下側を捨てるのが忍びなくという消極的な理由からでした。ところが久々にやってみるとなかなかどうして思うような炎が得られず、結局中身を捨ててまで何缶も消費することに。試作品たちの様子がコチラ


ようやくすったもんだのなんだかんだで及第点が与えられる性能に到達出来たので、一応これでマイクロCHSは終了ということにします。


備忘録を兼ねて作り方を公開します。例によって個人で楽しむ分にはいくらでも真似てもらってOK、でも売るのは禁止。特にメルカリID
Bold☆official は絶対真似すんな


使うのは直径45mmの小さなボトル缶で俗に言うウコン缶。それを3缶使います。
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でも"ウコン"を商品名に使っている缶は、底の形状が丸くて加工しにくいから、メガシャキとかマカとか乳酸飲料系の缶が良いです。
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塗装剥ぎは任意で。炭酸や珈琲飲料缶に比べて塗装が厚くて硬いです。真鍮ブラシとかじゃ歯が立たない。私はスチール製ホイールブラシで削ぎ落としたあとに真鍮とナイロン・ヤスリを使って仕上げてます。
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トップ・パーツの缶底斜めの部分は接着のために剥いでおく。
インナー・パーツは見えないところだし任意で。
アウター・パーツは気合で(笑)

切り出す前に ↓ のように予備作業しておくと後が楽です。
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トップ・パーツの開口面を穴あけ作業しておく。胴体部分を3cmくらいで切って接着工程の治具にする。
インナー・パーツは底のカドの部分にクリース付をしておく。

切り出した各パーツ。
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トップ・パーツの開口直径は35〜36mmが良いです。35mmより小さいとCHSを名乗るのがはばかれる起動時間になるし、36mmより大きいと30ccの燃料が10分もたない大食いになってしまう。しかしこの穴あけ加工が難しい。缶底をヤスリで削る方法では38mmくらいで大きすぎる。私はコンパスカッターでできるだけ大きく開けておいて、その後軸付き砥石を使って地道に拡大しました。
インナー・パーツの上側は、缶底をヤスリで削る方法でくり抜いた後、さらに削って開口直径を広げています。またクリースは15〜18が良いでしょう。この作例は15クリースです。
各パーツの切り出し高は、トップとインナーを重ねた高さがアウターより1〜2mm低いくらいです。

トップとインナーをJB-Weldで接着します。接着無しで隙間を無くすのは至難の業ですから。治具の使い方は動画を参照してください。接着後にジェット孔と短冊の加工をします。
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ジェット孔は 0.7mm X 6。0.5mmで下穴を開けてから0.6mmで角度付け。最後に慎重に0.7mmに広げました。
スリット・スカート(短冊)は、嵌合前に折り目を付け、一旦真っ直ぐに戻しておくと嵌合時にスジが着きにくいですよ。
アウター上部は焼き鈍しておきます。安全性と見た目のために折り返し処理をしていますが、かなり密に嵌合されているので、折り返さず高さを合せてヤスリがけしておくだけでも十分です。



6年越しでようやくマイクロCHSのバランス点(あくまで私の個人的嗜好を満たすだけ)を見つけ出すことができました。
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でも炎の美しさが riku さん作の Micro Hoop Stove(CHSじゃない)に及ばないんだよなあ。
posted by tetk at 07:13| Comment(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月04日

ジェット炎を最も簡単に強くする方法

ごくごく普通の副室加圧型/オープンジェット・アルコールストーブの、ジェット炎をちょっと大きくする簡単な方法です。ただし簡単なだけあって性能が大きく改善されることはありません。せいぜい1割増かな。高性能版がお好みならコチラを。
ま、きれいに作るちょっとした tips をいくつか盛り込んでますので、その辺をメインに見ていただけたら良いかと。



一応blogとして文章でも解説しておきますね。

使用する缶は限定です。
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トップ側に伊藤園から出ているタリーズのボトル缶、ボトムにはジョージア系のボトル缶を使用します。微妙に直径が異なっていて、かん合のためにボトム側を折り曲げたり、それが原因でかん合時にスジが付いたり膨らんでしまうことが無いのです。
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こんな感じでキレイに組み合わせられます。
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ボトル缶だと主室(バスタブ)の穴あけ作業がやりにくいので、最初に上の方でカットしてしまった後、コンパスカッターなどでやるといいと思います。そのときキャップ側のパーツをはめ込むとなおいいですよ。
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主室の直径は32mm以上をお薦めします。それ以下だと特に低温時に点火後すぐ酸欠で消えてしまうことが多発します。直径が大きいとジェット噴出(本燃焼)までかかる時間が短く、かつ燃焼時間も短くなります。逆に小さくすると本燃焼まで時間がかかり、かつ燃焼時間が長くなります。火力は単位時間あたり燃やす燃料の量に比例するので、前者のほうが強くなります。
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ジェット孔は1〜1.2mm径で16〜20個が良いですね。副室の内圧がそれほど高くないオープンジェットの場合、1mm未満では孔の通過抵抗が大きすぎると思います。まあこれはジェット数とも相関関係があるので何がベストかなんて一概に言えないのですが。
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99.99%の人がボトムもトップと同じ高さに切ると思います。でも内壁の高さがちょっと足りなかった時など、かん合でボトム缶が内側へ凹んで変形してしまうこともありますね。2〜3mm小さく(低く)しておくとそんな心配からも開放されます。
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"ダブルウォール"の名のとおり、内壁を2つ作ります。
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この寸法はトップ・パーツを31mm高(3cmの木っ端にカッター刃を付けて切っているから)にした場合のものです。"37mm"/"30mm"の部分がトップ・パーツ高によって変わります(横幅はこのままでイケるハズ)。

内壁は缶の胴体部分を使います。
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カッティングシートに貼り付けてカッターナイフで切ると作りやすいですよ。
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両端の留め方は写真と同じになるように、動画を参考にしてください。
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内壁円筒を重ね合わせたら、振動で外側のヤツがずれて来ないようステープラーで固定しましょう。ムシの位置までアルコールを入れられるという目印にもなります。
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底側に燃料の通り道を開けます。私はせいぜい一箇所でいいと思うんですよ。残燃料が少なくなったときの圧抜けも起こりにくくなりますから。ヤスリで削ったり、一穴パンチで半円を開けたりすれば良いと思います。
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各パーツが完成したら最後のかん合です。
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胴体部分に「ベコベコ」した触感もない完成が期待できますよ。
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暇を持て余して磨いてしまった(笑)
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磨くと指紋や吹きこぼしで即座に汚れて、綺麗なときとの落差が激しいんですよね。手間もあるけどその落差を嫌って私はヘアライン処理程度の塗装落としに留めているんです。でも自作品に思い入れを込めて磨いてニンマリするのもアリかな(笑)

ただのオープンジェットなんで、特に難しくも無いと思います。どうぞ楽しんでくださいね。

CHSなどは真似て売ることをお断りしていますが、これは販売してもかまいませんよ。ダブルウォールの出典(パクリ元)を添えてもらえると嬉しいです。
posted by tetk at 11:43| Comment(9) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月01日

ダブルウォール・オープンジェット・アルコールストーブ

だいぶ前にYAOJとか気化ターボ内蔵型でやったことの亜流。

ごくごく普通の副室開放型とかオープンジェットと呼ばれるタイプのアルコールストーブで、ジェットから出る炎をちょっと大きく力強くする方法の一つです。ポイントは副室開放型を作る手間とほとんど変わらないこと。もっとも手間を掛けずにジェットを大きくする方法だと認識してもらってOK。見た目も普通版と全く同じですよ。



普通版を作るときにも大いに参考になるだろう tips を含んだハウツー・ビデオも制作する計画です。
posted by tetk at 14:54| Comment(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月07日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その4 ダブルコイル編

トランギア・アルコールストーブのキャップにコイルを3個も付けたことがあって、ソイツは熱くなると火柱を噴き上げる恐ろしい奴でした(笑)。前回は6mm径2本足で火力アップを図ったけど背高が難点でした。

今度は背低で実用的な高さにしつつ、パイプ径細化による火力低下をダブルコイルでカバーします。火力はもちろんシングルよりダブル、ダブルよりトリプルが勝るわけだけど、燃料キャップまで缶底に付けると流石にトリプル化は底面積が足りません(無理やり実装してもメチャクチャ使いにくくなる)。
ダブルコイルの範囲で、大好物のアブナイ匂いのするストーブをやってやろうというわけです。ところがこれがなかなか難しくてソートー難儀しましたよ。昔から存在する燃焼方式で、コイルの固定法以外何も新しいアドオンもないのにここまで苦労するとは・・・トホホ。

何が難しかったか?
  • 太缶底にコイルを2個並べるには6mmパイプじゃ無理
  • ネジを切るため内径2mm外径4mmのパイプだとウィックにCFが使えない
    (径が細すぎてカーボンフェルトは挿入できない)
  • ウィックの素材や挿入方法などいろいろ試す
    ケブラー糸 : 吸い上げ率が悪すぎてX
    タコ糸 : 吸い上げ率悪し、パイプとの隙間に敏感すぎて再現性もX
    網銅線 : そもそも2mm径に通せない
    スチールウール : 太さの均一化が難しく再現性悪し
    麻ひも : パイプとの隙間に敏感
  • シングルとダブルコイルで特性が変わってくる
  • 無負荷なら良く見えても、ポットを載せると豹変する
    輻射熱によるタンク加熱で内圧上昇
    4mm化で低背化も図った分輻射熱の影響も受けやすくなった
現存する試作機たち。
たったこれだけと思うかもしれないけど、それぞれ数回に渡ってウィックを変えたりコイルを替えたりしてるんですよ。
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ジャム瓶みたいに加熱の影響を受けにくいタンク素材の方が楽でしょうね・・・ゴムシール部分の耐久性が課題になるけど。
言ってみればバランス探しの旅だったわけで、一応の完成を迎えたのがコチラ。
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3ヶ月前くらいから出回り始めた平らな缶底を利用してるんだけど、最近この缶が入手困難になってきた。どううやら元の凹形に戻っているみたい。あと数個しか作れないだろうなあ。

写真じゃわかりにくいけど、燃料キャップの位置をオフセットさせてるんですよ。その方が回しやすい。
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ケブラー芯は吸い上げが悪すぎて使い物にならず。
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最終的に麻ロープを採用。耐久性は百数十回の燃焼テスト後にバラして抜いて確認したけど問題なし。適度な隙間を再現性高く確保するためにいろいろノウハウがあるのです・・・シングルとダブルじゃ同じじゃないし・・・負荷時/無負荷時の差も大きいし・・・。当面詳細を公開するつもりは無いですよ(笑)

金属の、それも熱伝導性が良い極薄アルミのタンクだから、着火後2〜3分でタンク内でも沸騰/気化が始まる・・・すると内圧が上がってジェット噴出がますます強まる。コイルジェットは兎にも角にも風に弱いから風防で囲おうとするとそりゃ恐ろしい状態に・・・。youtubeで公開したモデルは一応ギリギリ耐えられる設定にしているけど、それでも全周360°ではなく風上側へ180°まで、かつ、ポットと3cm以上離していることが利用条件の一つ。他にもクッカーは直径 15cm まで、鉄板で焼き肉など100℃以上になる調理不可といった制限が必要だろうなあ。

最後に動画を。

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ダブルは利用制限付きで数個販売するかも。シングルは・・・。

posted by tetk at 14:19| Comment(2) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その3 剛火力編

前回は、オートウェルドを使わずにコイルジェットを実現する、根本的な解決法を公開しました。でも一本足のシングル・ウィックだったので、私好みの強火じゃなかったんですよ。そこで二本足ダブル・ウィックへアップグレードです。

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製作のキモとなるパイプ。
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特殊な工具はネジを切るダイスだけだから、前作の一本足バージョンよりハードルは低いかも。前はタップまで必要だったしねえ。まあコイルを曲げ終わる前にネジを切らなきゃならないのが難しいかな。

もちろんパイプの固定にJB-Weld(オートウェルド)なんて使ってませんよ。
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いつオートウェルドがひび割れて炎が吹き上がるかビクビクする必要はありません。安心して、安全に、長〜く使えます。売って儲けたいならこれくらいはやって欲しいよね。


個人で作って使って楽しむ分にはいくらでも真似してOKですよ。
posted by tetk at 09:06| Comment(14) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月22日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その2 実機編

接着剤の耐熱温度問題を回避する一つの方法・・・それは接着剤を使わないこと。簡単でしょ?

発想が簡単なソリューションでも、万人に作れるわけじゃないことを最初に断っておきます。それなりの工具を持っている人限定です。ま、詳細は動画を見ていただくとして、一言で言ってしまえばパイプにネジ切りすれば接着剤なんて要らなくなるということ。


ある特定の環境での実験結果だけでOK/NGを判断するのは危険です。前エントリーでも書いたけど、密閉型ストーブの動作は環境にすごく影響される・・・例えば夏の直射日光の下、熱くなるアルミ板の上、カルデラコーンで完全に覆った状況、大きめのフライパンを風防で覆う環境(パンからの輻射熱が大きい)。組み合わせたらそりゃ恐ろしいでしょ。熱暴走もありえるし、暴走しなくても想定以上の火力になってしまう。だから根本的な解決策を考えてみりゃいいと思いますよ。私の頭じゃネジ方式くらいしか思い浮かばなかったけど、もっと工作が簡単で万人向けの方法があるかもしれない。そういう案を是非研究して公開してくださる方はいませんか?

最後にもう一度。
パイプにジェット炎を当てる方式で、パイプ固定にJB-Weld(オートウェルド)を使った物は、遅かれ早かれ破綻する

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posted by tetk at 14:45| Comment(4) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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