カフェやら駅やら街中の至る所に無線LANアクセスポイントが開設され、煩わしい配線不要なところがウケて事務所内にも広まっている。カラオケ屋も既に無線LAN化されているくらいだ(一般者はアクセス不能)。これらの無線LANが使用するのはたいてい2.4GHz帯の周波数。各社、各団体、各事業者が限られた周波数帯にひしめき合い、帯域を奪い合っているのが現状だ。さらにこの周波数帯は電子レンジ(2.45GHz)、Bluetoothのような技術やアマチュア無線も使っており、大混信帯を形成している。集合住宅に住んでいるなら自宅のAPをオフにして外のAPを探してみるといい。かなりの確率でIEEE802.11b/gのAPを検出できるんじゃないかな。
一方もう一つの無線LAN周波数である5GHz帯はかなり空いている。2.4GHz帯製品が自動認識で空いている周波数を探してダイナミックにチャネルを変える機能を持ったおかげで、それほど周波数の空き状態を意識しなくてもそこそこのパフォーマンスが出るようになってきているが、あくまで"そこそこ"なんである。これに対して5GHz帯は元々利用者が少ないから、それこそカタログ値のような高スループットを得やすい環境だ。
車に例えると、2.4GHz帯は台数の多い都会だけど超高機能NAVIのおかげで常にそれなりに流れる道を探し出してなんとか動いている感じ。でも時々突発的な事故や工事(電子レンジが使われたりね)で渋滞することもある。5GHz帯は道路の数(チェネル数)はさすがに少ないものの、制限速度や道幅(理論速度)も都会並みに整備され、かつ、高機能NAVIも付いているんだけど、そんな機能に頼らなくても滞りなく流れている感じ。
こりゃどう見たって802.11aを使うに限るって言えそうなもんだけど、世の中そうではないらしい。メーカー側の対応製品を見渡すと、11b/gが圧倒的に多くて、これから11nがグッと増える兆し。11a製品が無いことは無いけど例えばSDIO形式の無線LANカードが存在しないという状況。無線LANのchipメーカーも11aに積極的な投資をしていない。3年間に渡ってカードを供給し続けるという要求をすると、11b/g/nなら対応するけど11aはコミットできないなんて回答が一次的には返ってくる。
周波数帯の高さを示す用語で言うと、2.4GHzはUHF(Ultra High Frequency)帯、5GHzはSHF(Super High Frequency)帯となって(スーパーマンの方がウルトラマンより強いのよ)、周波数が高くなればなるほど電波の伝わり方が"光"の性質に似てくるという特徴がある。すなわち5GHzは障害物に弱いと言えなくも無いから、環境によっては2.4GHzじゃないと届かないなんてことが発生する。
だけどさ、自宅での利用を考えると、多くの場合はAPとPCは互いに見える所にあるよな。多少壁があってもまったく飛ばないわけじゃないし、家庭で5GHzを選ばない理由は無いと思う。11aと11nの組み合わせが最強のはずなんだけどなあ。
我が家は狭いし、PCも2台で共にBBRの近くに置いてあるから、基本的に無線LANを使うことは今後も無いと思ってるんだけど、万一戸建てとかに引っ越すことになるなら、@予算が有り余っていたら家中にCategory5E以上のUTPを張り巡らせる、A11a/nの組み合わせで配線コスト・カット、のどっちかだな。