2024年07月13日

Super Penny Stove 2024  スーパーペニーストーブ2024

単室密閉加圧型アルコールストーブ、通称ペニーストーブは、バスタブ燃焼がなく炎が綺麗で燃焼時間も長いです。私にとって"炎が綺麗"というのが惹かれるところ。

でもペニーストーブは、周囲に燃料を垂らしてストーブごと火だるまにして、中の燃料を沸騰させなきゃ燃焼が始まりません。アルコールストーブ使用禁止になったアメリカのトレールもあるそうで、多分ペニーストーブの予熱のせいで山火事に発展したとかが原因じゃないかと思ってます。

予熱の危険性だけでなく、燃焼中も過加熱で熱暴走する悪しき特性もあって、まさに使う人を選ぶ上級者向けアルコールストーブなんじゃないかと。

そんなペニーストーブを、安全簡単な予熱で、熱暴走の耐性が高く、氷の上でも使えるようにしたい!という夢に取り憑かれています。
いうわけで2024年現在の中間報告です。


過去作との特徴を比較するとこんな感じになるかと。
matrix.jpg
今回も内部構造は非公開にさせてもらいますが、2020版に近いです。燃焼特性は、ペニーストーブのそれに近いものがあります。だから内部燃料が沸騰するまでの燃焼力は弱く、周囲からの輻射熱や反射熱に影響も受けやすいです。動画では炎を撮影するために風防を使っていませんが、使うと火力が上がります。逆に2020版で見せた氷水の中でも燃焼し続けるなんてことは無理で、ペニーストーブと同様に消えてしまいます。熱暴走へのある程度の対策は施してありますが、限度を超えるとジェット穴から液体の燃料がオーバーフローしてくる現象が発生します。まあそれでも結構高い耐性は持っていると思います。


2020年版

2021年版


posted by tetk at 12:01| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月23日

太缶で作る可変トルネード・アルコールストーブ Adjustable Hoop Stove ー LARGE ー 


昨年(2022)9月に、通気量を調整することでジェット火力を可変できるアルコールストーブを公開しました。
構造上背が高くなってしまうんですよ。五徳も高くしなくちゃいけなくて、当然不安定になりがちですね。そこで燃料容量を確保しつつ全高を抑えるために、直径66mmの太缶で製作しました。

AdjTorLarge_01.jpg
左:細缶バージョン 右:今回の太缶バージョン

燃焼はおとなしめにして実用性を高めた仕様としました。火力を強くするなら炎を大きくすればいいんですが、クッカーを炎が包んでしまって上げ下げに危険が伴ってしまうのを避ける目的です。
AdjTorLarge_02.jpg
0.6mmのジェット孔を6個

穴径と穴数が小さいんで火力はそこそこってところです。

給湯時間に直結する火力としても、燃焼時間としても、HIGH/LOWで2倍近い差があります。
AdjTorLarge_03.jpg

2022年の細缶バージョンとほぼ同じ燃焼性能になってるかな。
AdjTorLarge_04.jpg

詳細は動画でどうぞ


posted by tetk at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月31日

Walrus に関する備忘録

walrus_logo.jpg

Bob Swanson (ボブ・スワンソン)とGeorge Marks(ジョージ・マークス)によって1984年に設立されたアウトドア・ブランド。1965年に Sierra Designs を創立した2人でもあります。いわばアウトドア業界の伝説的な2人。60/40マウンテンパーカもこの2人によるものです。主にボブが開発、ジョージがセールス分野を担当していたそうです。80年代半ばに大きくなりすぎて自由に開発できなくなったシェラを辞めて、再び製品開発に集中できる環境を求めてWalrus, Inc.を創業したんです。ちなみにWalrusとはセイウチの意味で、髭面のジョージの愛称から名付けられているんですよ。

orbits.jpg

ただビジネス的には苦戦していたんじゃないでしょうか? 1993年に小売業のREI社へ買収/吸収されました。そこから暫くの間、ボブはREI社がファミリーやオートキャンプ向きのテント・ブランドとして作ったArmadilloでデザインを担当しています。REI社は吸収したWalrus、Mossそして自社で作ったArmadilloのテント・ブランドをEdge Worksという子会社にしていたみたいですね。2000年に同じく傘下だったMSRにEdgeWorksを経営統合させ、翌2001年にMSRごとCascade Designsへ売却して現在に至ります。MSRのテント製品の多くは、mossよりもWalrusの影響や面影を強く残していると思います。

moonrocks.jpg

Bob Swansonは2005年にBig Agnes社へTent Line Managerとして参加します。MSRとBig Agnesのテントに三叉式のポールワークが多用されているのは、発明者であるボブの影響なんですよ。まさにボブの異名でもある”ザ・テント・ガイ”の面目躍如ってところですね。残念ながら2016年にボブは亡くなります。いまでもアウトドア用品のアチコチに影響を残しているBob Swanson・・・レジェンドですね・・・ありがとう。

tristars.jpg

参考リンク集:

IMGP3067s.jpg
parka_logo.jpg


posted by tetk at 17:57| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月25日

細缶で作るパイプジェット・アルコールストーブ

燃焼方式としては何の変哲もない極々シンプルなパイプジェット(ウィックジェット)アルコールストーブです。
  1. この材料で
  2. この寸法で
  3. こういう作り方をすれば
見た目も綺麗で各パーツがぴったりフィットするストーブが作れますよ・・・という一つの寸法例としてご覧いただければと思います。

posted by tetk at 09:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年01月28日

ダンロップ山岳テントのショックコード交換

確か1985年か86年頃だったと思う。初めてのマイテント。神奈川県鶴見にあるIBS石井スポーツで展示品を購入した。購入時はハーフフライ仕様で、後からフルフライシートを買い足しポール長を自分で調整した。10年くらいは登山でもオートキャンプでもこいつばっかり使っていたと思う。
P1000127s.jpg
南ア仙丈ヶ岳山頂直下のテン場で大型台風の直撃を食らったとき、周りのテントがバタバタと倒壊したりポールが折れたりしている中で、朝まで安心して眠っていられた経験もあって、絶大なる信頼を寄せています。

ザックの横へポールを挟んでいくために、落下防止のループを自分で取り付けました。当時たまに見かけたんですよ、テン場に着いて「ポールが無いっ!」と慌てているパーティーが。
P1000129s.jpg

もう40年近く昔のものだから、当然ショックコードは伸びきってしまってます。
D_shock2.jpg

メンテナンスということでショックコード交換をします。
D_shock3.jpg

ダンロップのポールは、石突きに固結びしたコードを通しているだけです。石突きの中で固着した砂・土・小石などを取り除いて、ピンセットやラジオペンチでショックコードをつまみ出します。そしたらコードを切って、抜いて、新しいショックコードを通せば終わりです。詳細はyoutube動画を見てください。


で、交換し終わったポールがコチラ。
P1000131s.jpg

ついでなんでダンロップのテントについてちょっと。

張り方は至って簡単。4隅にペグダウンして
P1000132s.jpg

ポールをグロメットに挿して
P1000133s.jpg

フックを引っ掛けるだけ
P1000134s.jpg
P1000135s.jpg

冬季用に吹き流し型出入り口を装備。実際ここから出入りしたことなくて、閉じた状態で外側に放り出して、そこへザックなどを放り込んでストレージにするという使い方ばかりでしたね。
P1000139s.jpg

前後に装備されている通気孔。メガネや時計などの小物置きとして便利でした。
P1000146s.jpg

床の穴。ここから雪をすくって水を作るとか、用を足すとか、掃除の際に使うとか言われてるけど、活用経験ありません。
P1000150s.jpg

フルフライ仕様にして雨でも安心。そうそう、このダンロップはPUコーティングとか一切無いんで、基本的に劣化しません。だから今でも現役でテン場で見かけるんでしょうね。ちなみに雨漏り経験は無いですよ。
P1000151s.jpg

流石にフライシートのゴムは伸びきってしまってます。気になるなら外側へペグ打ちゃ済む話です。
P1000156s.jpg

山岳テントだから視認性重視のドギツイ青。早朝出発を促すために朝寝できない目に痛いオレンジ。とってもよくできたテントです。
posted by tetk at 16:44| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月15日

Adjustable Tornado Alcohol Stove Build 2 / Spec B

このストーブを販売中です。
→ 完売しました。もう作らないと思います。

可変トルネード・アルコールストーブのビルド 2 / スペック B です。
AdjTornadoBuild2_01.jpg

先月 Build 1 / Spec A を発表してからもずっとさらなる弱火を求めて開発を続けています。弱火だけに焦点を当てるなら方法はあるんですが、いずれも出来上がる炎の形が気に入らないのですよ。
  • ジェット孔の数を減らす
    • 美しいトルネードには最低6個のジェットが必要で美しくない
  • ジェット径を小さくする
    • 強火にするとジェットが千切れ過ぎて横への噴射が多くなりすぎて美しくない
AdjTornadoBuild2_02.jpg
オリジナルの Hoop Stove も、Capillary Hoop Stoveのときも、給湯性能、燃焼効率、起動時間、使い勝手と炎の美しさや楽しさといったいろんな要素のバランス点を見つけるのが大変でした。今回もやはり同じですね。試作を繰り返しながら、Build 1 / Spec A がかなり良いバランスだったんだなと再認識するに至りましたよ。

この Build 2 / Spec B は、前作より少し弱火に振った仕様になっています。1 割くらいかな。これを実現するために、吸気口の数を 8 から 6 へ減らし、主室開口径を1mm狭めています。吸気口と開口径の関係ってかなりシビアなのよ。あとは加工性を担保する目的で垂直パイプを 2 から 3 本へ増やし、その増えた分をカバーするためにパイプ径を 1mm細くしました。

AdjTornadoBuild2_06.jpg
見た目以上に火力差がありますよ。

AdjTornadoBuild2_04.jpg
弱火のとき

AdjTornadoBuild2_03.jpg
強火のとき

AdjTornadoBuild2_05.jpg
泡の出方が大きく異るでしょ。

Build 1 / 2 の比較
build1-2comparsion.jpg


Build 1 / Spec A と Build 2 / Spec B のどちらが優れているということは全く無くて、どちらのバランスが好きかの嗜好の違いだけですね。
posted by tetk at 13:38| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月17日

可変トルネード・アルコールストーブ

世界初のジェット炎を調整可能なトルネード・アルコールストーブの完成です。
AdjHoop03.jpg

この開発のための試作機を近日中にヤフオクへ出品するつもりです。私の出品リストぶ注目していてくださいね。
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/tetk


ジェット噴出式のアルコールストーブの火力調整は、これまでジェット孔を塞ぐ方法しかありませんでした。自分でもCHSなんかでやってましたけど、せっかくのジェット炎を隠してしまうなんて本末転倒だなと感じていたんですよ。

可変ジェットは 10 年くらい前から何度も挑戦してきました。最初は単室密閉型のチムニージェットで、暴走点を少しずらす程度のことができました。2番めはHoopStoveで、基本的には今回の完成版と同じ方向性でわずかな調整幅を得ました。そこからずっと放置していたことになってしまうんですけどね。10年が経過して、いろいろ知見や技術も向上して、ようやく実用に供することができるレベルまで到達したと思います。アルコールストーブの世界に新しい可能性を示すものだと自負しています。

AdjHoop01.jpg
10年前はまだ知識が足りてなかったんですねえ。いろいろ突き詰めていればもっと早く完成したはずなのに。
燃焼システムは昔のHoop Stoveと同じです。作り方もだいたい同じ。

ジェットは0.7mmX6にしています。弱火重視なら0.6mmなんだけど、それだと強火の際にジェットが千切れすぎる。0.7mmでも千切れるんで、0.8mmで千切れなくなると思う。でも0.8mmだと弱火が中火になってしまうんじゃないかな。
AdjHoop02.jpg






アイディアやデザインを盗用して販売すんなよ。
posted by tetk at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月27日

たまには木工

毎日アルミや銅の金工ばかりしていると、たまに無性に木工をやりたくなります。

3月頃にインスタグラムで見かけた@wooodwork_diyさんの画像に触発され、作ってみたのがランタンテーブル。


で、4月になっても熱冷めやらず作ってみたのがローテーブル。結果として、好きで愛用しているbyerの丸パクリになりました。


posted by tetk at 09:56| Comment(2) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月24日

アウトレットのお知らせ

受付終了しました

コイルジェット・アルコールストーブのアウトレット販売をします。
outlet集合s.jpg
(画像をクリックすると別ウィンドウで大きな画像が表示されます)

昨年販売した際に保証交換用として保管していたものになります。
ファインメッシュ五徳は付属しませんので、別途高さ9cm以上のものを用意してください。またアウトレット販売なので保証も付きません。メールでのQ&Aには対応させていただきます。

使用条件とか注意事項とか燃焼の様子などは動画を参照してください。


価格 :5000円 (クロネコ宅急便の送料を含む)
送金先:ゆうちょ銀行 または みずほ銀行

私のメールアドレスをご存じの方は直接連絡していただいてかまいません。ご存知なければコメント欄にて手を上げてください。メールアドレス欄は非公開設定になっています。折り返しこちらから連絡します。
posted by tetk at 14:45| Comment(12) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月17日

FREELIGHT BlastBurner をナット固定で作ってみた

FREELIGHTからリリースされているBlastBurnerは、数あるアルコールストーブの中でも異端児な存在です。パイプの固定に特殊な接着剤を採用しており、一般の人が真似て作ることはできません。高耐熱で有名なJBウェルドの耐熱限界も軽く超えてしまうからです。

内部構造や作り方を公開するわけにはいきませんが、パイプ固定をネジ止めにする方法で試作してみたものがこのストーブです。
Nutted_BlastBurner_001.jpg

コイルジェットでもナット締めにすることで接着剤に頼らない製法を公開しましたが、BlastBurnerでも同じだということを示せたと思います。
Nutted_BlastBurner_002.jpg

単にナット化するだけじゃ芸もないしつまらないので、ポットサポート組み込み型にしてみました。
Nutted_BlastBurner_003.jpg

大きめに作ったこと、パイプがBlastBurnerよりだいぶ長くなったこと、ポットサポートを組み込んだこと(放熱器として作用する)などマスが大きくなってしまったので、本家よりだいぶ大人しい燃焼になっています。
Nutted_BlastBurner_004.jpg

立ち上がりも予熱時間が長くなっています。起動性は後退してますが、逆に稼働時の安全マージンが大きいと言うこともできるでしょう。試してませんが風防条件も緩くできるかもしれません。
Nutted_BlastBurner_005.jpg

製品化や市販の計画はありません。あっても製造したくないほど面倒くさいので。
posted by tetk at 09:28| Comment(6) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月24日

Road to Super Penny Stove その 3

今回もまたボツかと頭をよぎりましたが、そこは諦めの悪い私ですから、思いついた案は全部やってみなけりゃ気が済まない。たとえ失敗でも、"この方法はコレコレこういう理由でダメ"という経験が蓄積されるはず・・・そう考えられなきゃ長くアルコールストーブの研究なんてやってられませんよ(笑)

そこでトライしたのが、ストーブの中心部でなく周辺部で気化をさせ、燃料タンクの気化ガスを副室へ送り込まずに圧抜き孔から逃がす、という動作バージョン。

road2sps06.jpg
この形の缶だとジェット炎の向きが横すぎるし、気化促進の仕組みをインストールするのが窮屈過ぎる。

road2sps07.jpg
これもジェットが横向き傾向。缶底を反転させ予熱用プールのために中心部だけ元に戻すという凝った細工をしたけど、それは蛇足だったかも。

road2sps08.jpg
太缶(直径66mm)とは気化の仕組みは異なるが、アイディア検証のために作ってみた細缶(直径53mm)バージョン。気化機構は太缶版の方が効果的。

着火はターボライターで 20 〜 30 秒炙ってやればOK。手持ちでも可能です。
road2sps11.jpg

燃料全体が沸騰する必要なく本燃焼が始まるので、火だるま予熱からは大幅に進歩したと思う。
road2sps12.jpg

圧抜き孔からの炎があるからペニーストーブのような"純トルネード"にはなっていないけど、バスタブ燃焼じゃない分かなりスッキリしたと思う。
road2sps10.jpg

もちろん低温下でもちゃんと本燃焼する。気化機能を組み込んだトップ外周部さえ高温なら機能するのだ。
road2sps09.jpg

加圧型アルコールストーブをカルデラコーンのような完全に覆ってしまう風防と決して組み合わせてはいけない。耐熱暴走性を確認するための実験の一コマ。ジェット炎も圧抜き孔の炎もかなり大きくなるが、何度実験しても暴走しなかった。かなり圧抜き孔が効いていることがわかった。
road2sps13.jpg

今回の2ヶ月に及ぶトライアンドエラーで、一歩、夢のスーパーペニーストーブへ近づけたかなと思う。ただし、現在の最高到達点ではあるが、タンク内の気化ガスを圧抜き孔から放出させるという、ある意味"逃げ"の方法であることも確か。何かブレークスルーが欲しいな。

もう一回くらいジェット炎を調整した"見栄え"バージョンを作るかもしれないけど、機構的な進歩バージョンは数年先か一生無いか・・・。とりあえず現在の最高到達点と思って見てください。
posted by tetk at 08:32| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月17日

Road to Super Penny Stove その 2

ペニーストーブのような単室加圧型はもちろんのことオープンタイプの副室加圧型でも、投入した燃料全体の温度が充分上がらないと気化が始まりません。だから本燃焼までの時間がかかるわけです。

燃料全体を沸騰させることなく気化をスタートさせる。例えば気化ターボみたいな仕組みを取り入れれば、立ち上がりはほんの少しだけ早くなります。まあ労多くして功少なし(立ち上がりに関してって意味ね)の範疇ですけどね。
さらにストーブ全体の温度が上昇すると、気化ターボは必要量以上の気化ガスを発生させる悪しき仕組みに逆転してしまいます。別に言い方をすれば、気化ターボは熱暴走促進装置になってしまうのです。

この辺りが密閉型での安定稼働と起動時間短縮―――すなわち容易な予熱―――との相反する課題点だと考えています。

いろんなサイズや形状の缶を眺めて取っ替え引っ替え組み合わせてみて、最初に思いついたのは上下2気室の構造にして、上側を気化室として使おうというものでした。

road2sps04.jpg
失敗だったアイディア

下気室の燃料をCFウィックで吸い上げ、上側の気化室で熱帰還ロッドに巻きつけます。ロッドの熱で気化させて上気室をガスで充満させようというアイディアでした。下気室で発生した圧力は、CFの隙間を経由して上気室から逃がせるかなと思ってたんです。

road2sps05.jpg
試作の一部(中部を作り変えて試験したりしてるから実際は2〜3倍)――全部失敗作

まあ見事に失敗でした。希望的観測よりずっと起動に時間がかかる。目論見より気化量が少ない。あまり役に立たなかった気化ターボみたいなもんでした。そのほかにも上気室の容積による変化や上下隔壁に開けたCF用穴径とCFサイズによる変化もありました。かなりクリティカル。作り方によっては過加熱時に気化しきれないアルコールが液体のままジェット孔から溢れ出てくるケースもあったんですよ。熱帰還ロッドがあるせいでまさに熱暴走促進装置でもありました。
posted by tetk at 10:28| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月27日

2019年最大の失敗作

今年膨大な時間と結構な費用をかけて製作し、結局うまく動作しなかった失敗作です。

AS00LFailed01.jpg

昨夏〜昨秋にかけてコイルジェットの小さいやつをやっていましたね。

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ
その1 背景 その2 実機編 その3 剛火力編 その4 ダブルコイル編

そのころからパーツの組み合わせ、構造、製作手順などの検討を始め、3月ごろからは部材の調達と各パーツの試作に入り、8月にようやく部材が揃って本製作を開始しました。

AS00LFailed02.jpg

もちろん火は点きますよ。しかし求めるような火力に程遠い・・・。
原因はわかっています(これは公開しませんよ)。解決策も2つほど思いつきましたが、実装と現場での操作性を考えると現実的でない。

平成から令和に跨る長い課題になりました(大袈裟!)。

新年が良き年になりますよう。1年間のご愛顧ありがとうございました。
posted by tetk at 05:31| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月13日

キャップのできるトルネード・ウィック/パイプ・ジェット・アルコール・ストーブ

2009年頃にウィック/パイプ・ジェットを初めて作りました。GYRO-TOP Alcohol StoveとかNO-PARKING Alcohol Stoveなんかです。ジェット噴出が始まる速さに感動したものです。

それが超凶暴な Tornado Wick Jet へ続いてデチューンした安定版のPetal stove へと至ります。さらにパイプを曲げない Hoop Stove を経由して、最終的にウィックまで廃した CHS が生まれました。

eCHS は、パイプ・ジェットの起動の速さを保ったままトルネード炎を得ようとしてあがいた結果ですね。

で、今回は CHS ファミリーの原点とも言えるウィック/パイプ・ジェットに立ち戻って、蓋付きで燃料を入れたまま持ち運べるトルネード・ジェットへ取り組みました。前にやった キャップ付き CHS の密閉性がイマイチだったこともあります。とはいえワタクシ的には蓋付きである必要性を何も感じていないのですが・・・。

前置きがすごく長くなってしまったのでとりあえず完成版を。


実はコレ、いろいろあったアイディアのプランDです。A〜C案はボツでした。ボツ案には何かしら新しいアイディアがあったんですけどねー・・・。結局、燃焼方式とかの技術上は完全トラディショナルなもので、何も新しいものはありません。

作り方はこんな感じ。


パイプの固定方法は見た目重視で作業性無視。例えばパイプ同士を細い針金で結わえてしまうとか、JBWeldで側壁に接着するとかの方が簡単です。でもそれじゃ格好悪いんで(笑)

それと使うパイプ径は、外径4mm内径3mmが下限です。ボツC1案で外径2mm内径1mmのキャピラリチューブでウィック無しにトライしたけど、パイプ内で発生する爆沸現象のせいで安定しませんでした。C2案で3mm/2mmへ太くしてウィック有りにしても、吸い上げ量不足で力強いジェットが得られにくいのとジェットの角度付が超難しく、再現性が悪いままでした。

キャップ付き CHS よりは密閉性と耐久性が向上していると思います。飲み口も少し焼けにくくなったし。

スチール缶の塗装を剥ぐとすぐ錆びるし、そのままじゃ見た目がアレなんで、アルミ缶が若干太いことを利用して化粧版を作成。それだけじゃつまらないからポットサポートも組み込んでみました。キャップの開閉がしやすいかなと思って、本体から少し離しています。この取り付け方は新しいかな。


ストーブ本体は真似て売っても構わないですよ。ポットサポートの取り付け方をパクるのはNGだけどね。
posted by tetk at 10:04| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その3 剛火力編

前回は、オートウェルドを使わずにコイルジェットを実現する、根本的な解決法を公開しました。でも一本足のシングル・ウィックだったので、私好みの強火じゃなかったんですよ。そこで二本足ダブル・ウィックへアップグレードです。

CoilJet_wo_JBweld2_1.jpg

製作のキモとなるパイプ。
CoilJet_wo_JBweld2_2.jpg
特殊な工具はネジを切るダイスだけだから、前作の一本足バージョンよりハードルは低いかも。前はタップまで必要だったしねえ。まあコイルを曲げ終わる前にネジを切らなきゃならないのが難しいかな。

もちろんパイプの固定にJB-Weld(オートウェルド)なんて使ってませんよ。
CoilJet_wo_JBweld2_3.jpg

いつオートウェルドがひび割れて炎が吹き上がるかビクビクする必要はありません。安心して、安全に、長〜く使えます。売って儲けたいならこれくらいはやって欲しいよね。


個人で作って使って楽しむ分にはいくらでも真似してOKですよ。
posted by tetk at 09:06| Comment(14) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月20日

JBWeldを使わないコイル/パイプジェット型アルコールストーブ その1 背景

ジェット炎を銅/真鍮パイプに当てる方式について、これまでも問題点を提起してきました。

昔のパイトーチのように丸めたパイプからジェットを噴出させる方法や、ブラストバーナーのようにタンクから噴出させたジェットをパイプで受ける方法などが含まれます。
failed01.jpg
パイプからジェットを噴出させる例

最大の問題点はパイプの固定および隙間の密閉に使われる接着剤にあります。有名なJBWeld(オートウェルド)の耐熱温度は300℃ですね。炎の温度は500〜1000℃くらいでしょうか。アルコール炎もバスタブやカーボンフェルトからただユラユラと上がる温度と、内圧をかけてジェット噴出させた温度が異なります。試しにアルミ素材(融解点は約660℃)を炎にかざしてみてください。溶け方で違いがわかると思います。

さて、アルミも溶ける700℃は超えていそうな場所からパイプ続きで2〜3cm離れた接着場所の温度を想像してみてください。軽く300℃は超えていそうですよね。ただしこの温度は周りからの輻射熱、燃料残量、ストーブ筐体のマスの大きさなどに大きく影響され、一定ではありません。もちろん内圧が上昇して噴出が強まれば温度も上がるわけです。ある特定環境での試験結果が、様々な環境や状況での結果と同じではありません。
failed03.jpg
タンクから噴出させる例1

以前も書きましたがブラストバーナー開発時に、JBWeldから始まって耐熱1200℃くらいまで一般に入手可能な接着剤を片っ端からテストしました。耐熱温度が上がると固定力(接着力)や強度が弱まる傾向があり、必要な耐熱と強度を両立するものがありませんでした。ちなみにJBWeldは炭化してひび割れて隙間からガスが漏れ出て引火します。(FREELIGHTは接着剤メーカーと協業して解決しているので念の為)
failed02.jpg
タンクから噴出させる例2

遅かれ早かれJB-Weldは ↓ こうなります。
failed04.jpg
焦げて割れてボロボロになったJB-Weld

まあ個人で作って楽しむ分には、特性を理解して気をつければいいし、寿命が来たら作り直して愉しめば良いと思いますよ。これぞDIYやMYOGの醍醐味ですからね。でも耐久性もなんとか持たせたいと考えますよね。耐熱1500℃とかで接着力が今と同じの「スーパーJBWeld」が出てこないかなあ(笑)

とまあ背景がかなり長くなりましたが、次回は私なりの一案を公開したいと思います。
posted by tetk at 06:13| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月25日

レガシィのバッテリー交換 −備忘録−

2年前の車検時に「そろそろ換えたほうがいい」と言われた。それからはバッテリーに負担をかけない使い方に徹して延命してきたんだけど、先日一回だけエンジンのかかりが悪いことがあった。上がってトラブル前に交換してしまおうとDIYで実施。ディーラーでやってもらう約1/3の費用で済んだ。

購入したのは Panasonic ブルーバッテリー caos 100D23L/C5。純正が 55D23L だから約1.8倍の容量になるらしい。通販で買うと製造から月日の経過した品物が届くことがあるらしいが、自分の場合はひと月経っていない新鮮な物が届いた。
battery_change01.jpg

作業はいたって簡単。手前2箇所のクリップを外し、奥のフックを外してカバーを取り去る。
battery_change02.jpg

端子をマイナス→プラスの順に外して、古いバッテリーを抜き取る。汚れが盛大に溜まったバッテリー用トレイをクリーニングしてから新しいバッテリーを載せる。プラス→マイナスの順に端子を取り付け、バッテリーを固定。
battery_change03.jpg

カバーを戻して作業完了。
battery_change04.jpg

6年使った純正バッテリーはユアサの日本製だった。ディーラーのサービスの人にも「当たりの個体だったかも」と言われていたけど、インジケータはまだ大丈夫と示していた。この辺は流石日本製ということなのかな。純正でも最近は6年持つなんてことはなくなってきてるそうだ。コストダウンと引き換えに寿命を削ってしまったという典型例かもしれないですねえ。
battery_change05.jpg

追記
単にバッテリーだけ交換すれば万事解決というわけではないことが判明した。交換直後からエンストを起こしやすいなあと感じていたのだが(ウチのレガシィはMTなんで)、これはバッテリー交換に起因する現象らしい。

レガシィも燃料噴射プログラムに学習機能があって、乗り手のクセや車の状態に合わせて最適化した燃料噴射をしている。学習した内容をバッテリーを取り外したことですっかり忘れてしまい、プログラム自身は自分が新車だと思って噴射制御する。しかし実車は年季の入ってきた状態で、頭と身体の実態が乖離してしまっているわけ。

対策はスロットルバルブ内に溜まった煤とか汚れを落として、新車に近い燃料噴射でも問題無いようにしてやる。ディーラーでバッテリー交換する時は、学習内容を外部記憶装置に保存してから付け替えて、再度記憶を戻してやる作業をするそうだ。ちなみにディーラーのメカニック氏は、駐車場から整備場へ移動する数10mで「ん?もしや」と気付いたそうだ・・・流石!
posted by tetk at 14:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月26日

巾着田にて

近場の巾着田へ現実逃避・・・なんてね(笑)
IMGP0995-s.jpg

ファインメッシュ長者なんで無芸な焚き火スタンドを撮影しようと思ったのです。


もう平地のキャンプはオフシーズンだな・・日なたは暑いわ。
IMGP1054-s.jpg

次は晩秋かな。
IMGP1028-s.jpg
posted by tetk at 14:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月26日

第5回 東日本応援キャンプ

4月18〜19日にかけて開催された第5回 東日本応援キャンプの模様をビデオにまとめました。

こんな笑顔が大きな支援につながるなんて素敵ですね。

動画に使用した写真データをご希望の方は、コメント欄に「何分何秒の写真希望」と書いてください。送信先のメールアドレスも忘れずに(公開されない設定ですからご心配なく)。
posted by tetk at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月01日

Google+