燃料全体を沸騰させることなく気化をスタートさせる。例えば気化ターボみたいな仕組みを取り入れれば、立ち上がりはほんの少しだけ早くなります。まあ労多くして功少なし(立ち上がりに関してって意味ね)の範疇ですけどね。
さらにストーブ全体の温度が上昇すると、気化ターボは必要量以上の気化ガスを発生させる悪しき仕組みに逆転してしまいます。別に言い方をすれば、気化ターボは熱暴走促進装置になってしまうのです。
この辺りが密閉型での安定稼働と起動時間短縮―――すなわち容易な予熱―――との相反する課題点だと考えています。
いろんなサイズや形状の缶を眺めて取っ替え引っ替え組み合わせてみて、最初に思いついたのは上下2気室の構造にして、上側を気化室として使おうというものでした。
失敗だったアイディア
下気室の燃料をCFウィックで吸い上げ、上側の気化室で熱帰還ロッドに巻きつけます。ロッドの熱で気化させて上気室をガスで充満させようというアイディアでした。下気室で発生した圧力は、CFの隙間を経由して上気室から逃がせるかなと思ってたんです。
試作の一部(中部を作り変えて試験したりしてるから実際は2〜3倍)――全部失敗作
まあ見事に失敗でした。希望的観測よりずっと起動に時間がかかる。目論見より気化量が少ない。あまり役に立たなかった気化ターボみたいなもんでした。そのほかにも上気室の容積による変化や上下隔壁に開けたCF用穴径とCFサイズによる変化もありました。かなりクリティカル。作り方によっては過加熱時に気化しきれないアルコールが液体のままジェット孔から溢れ出てくるケースもあったんですよ。熱帰還ロッドがあるせいでまさに熱暴走促進装置でもありました。