昔トランギア・アルコールストーブのキャップにコイルを3個も付けたことがあって、ソイツは熱くなると火柱を噴き上げる恐ろしい奴でした(笑)。前回は6mm径2本足で火力アップを図ったけど背高が難点でした。
今度は背低で実用的な高さにしつつ、パイプ径細化による火力低下をダブルコイルでカバーします。火力はもちろんシングルよりダブル、ダブルよりトリプルが勝るわけだけど、燃料キャップまで缶底に付けると流石にトリプル化は底面積が足りません(無理やり実装してもメチャクチャ使いにくくなる)。
ダブルコイルの範囲で、大好物のアブナイ匂いのするストーブをやってやろうというわけです。ところがこれがなかなか難しくてソートー難儀しましたよ。昔から存在する燃焼方式で、コイルの固定法以外何も新しいアドオンもないのにここまで苦労するとは・・・トホホ。
何が難しかったか?
- 太缶底にコイルを2個並べるには6mmパイプじゃ無理
- ネジを切るため内径2mm外径4mmのパイプだとウィックにCFが使えない
(径が細すぎてカーボンフェルトは挿入できない) - ウィックの素材や挿入方法などいろいろ試す
ケブラー糸 : 吸い上げ率が悪すぎてX
タコ糸 : 吸い上げ率悪し、パイプとの隙間に敏感すぎて再現性もX
網銅線 : そもそも2mm径に通せない
スチールウール : 太さの均一化が難しく再現性悪し
麻ひも : パイプとの隙間に敏感 - シングルとダブルコイルで特性が変わってくる
- 無負荷なら良く見えても、ポットを載せると豹変する
輻射熱によるタンク加熱で内圧上昇
4mm化で低背化も図った分輻射熱の影響も受けやすくなった
現存する試作機たち。
たったこれだけと思うかもしれないけど、それぞれ数回に渡ってウィックを変えたりコイルを替えたりしてるんですよ。

ジャム瓶みたいに加熱の影響を受けにくいタンク素材の方が楽でしょうね・・・ゴムシール部分の耐久性が課題になるけど。
言ってみればバランス探しの旅だったわけで、一応の完成を迎えたのがコチラ。

3ヶ月前くらいから出回り始めた平らな缶底を利用してるんだけど、最近この缶が入手困難になってきた。どううやら元の凹形に戻っているみたい。あと数個しか作れないだろうなあ。
写真じゃわかりにくいけど、燃料キャップの位置をオフセットさせてるんですよ。その方が回しやすい。

ケブラー芯は吸い上げが悪すぎて使い物にならず。

最終的に麻ロープを採用。耐久性は百数十回の燃焼テスト後にバラして抜いて確認したけど問題なし。適度な隙間を再現性高く確保するためにいろいろノウハウがあるのです・・・シングルとダブルじゃ同じじゃないし・・・負荷時/無負荷時の差も大きいし・・・。当面詳細を公開するつもりは無いですよ(笑)
金属の、それも熱伝導性が良い極薄アルミのタンクだから、着火後2〜3分でタンク内でも沸騰/気化が始まる・・・すると内圧が上がってジェット噴出がますます強まる。コイルジェットは兎にも角にも風に弱いから風防で囲おうとするとそりゃ恐ろしい状態に・・・。youtubeで公開したモデルは一応ギリギリ耐えられる設定にしているけど、それでも全周360°ではなく風上側へ180°まで、かつ、ポットと3cm以上離していることが利用条件の一つ。他にもクッカーは直径 15cm まで、鉄板で焼き肉など100℃以上になる調理不可といった制限が必要だろうなあ。
最後に動画を。

ダブルは利用制限付きで数個販売するかも。シングルは・・・。
TETKさんの新作にいつもワクワクしています。ありがとうございます。
良き情報をありがとうございます。
我が家のかれこれ40年近く前のハンダ吸い取り機が太かったんですよ。同軸ケーブルの網線も1.5Dくらいじゃまだ太かったし。1.5mmってのはICはんだ付け用かな? 私は主に真空管やアンテナ系の工作が多かったので、そんな細いやつがあることすら知りませんでした。