2018年05月14日

使う人を選ぶアルコールストーブ FREELIGHT BLAST Burner 開発秘話

FREELIGHTから発売されているBLAST Burnerです。
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アルコールストーブへの先入観、既存概念あるいは常識を打ち破ることができているでしょうか?

積極的な公表を控えてきましたが、師匠のJSBさんの仲介でFREELIGHTの高橋さんと知り合い、少しづつ深みにハマり・・・(笑)その縁があって開発に携わることになりました。軽く1 年以上の月日がかかっています。

プロジェクト・スタート時に”お題”として言い渡された要件をザックリまとめると下記 2 点。
  1. 徹底した燃焼効率の追求
  2. 既存アルコールストーブの概念を覆す
1 の効率に関しては、FREELIGHTのblogエントリー「2016.08.18 FREELIGHT BLAST BURNER(ブラストバーナー)開発のお話」を参照してください。

一方、2 番めの既成概念を覆すという"無理難題"には、なんとも途方に暮れたものです。ではアルコールストーブの既成概念って何だ?というところから始めました。
  • アルコールストーブは静か
    ガソリンストーブみたいに爆音を出すことができれば・・・。
  • アルコールストーブは風に弱い
    ジェット噴出力が弱いため風に炎が棚引いてしまうということが理由の一つ。
    ジェット速度を極限まで上げれば強くなるかも。
     内圧を高める
     ジェット数を減らす
     速過ぎると千切れて消し飛ぶ
  • アルコールストーブの炎は昼間に見えない
    炎に色を付けるか。
    音で確認する手もあるかも。
ここから過去に製作したり経験したことを総動員し、作っては壊しを繰り返す・・・方向性がようやく見えて原案が出き上がったのが2015 年。さらに特性を把握するための試作を繰り返し、バラツキを減らす加工方法のトライアンドエラー、部材の耐久性テスト・・・などなどを経て⻑期テストへ・・・ここでも問題が出て改良と部材メーカーと折衝・・・最終型の耐久テスト・・・長くて結構たいへんだった・・・。
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私のこのblog、youtubeinstagram を見ていただいている皆さんの中には、数年前に公開していた「爆音系アルコールストーブ」を覚えている方がいるかもしれません。あれはBLAST Burner開発初期段階のものだったんです。当時の記事/動画を探してももう見られないです。欠陥が見つかったため非公開にしてしまいましたから。そう言えばあれを真似てblog/youtubeなどで公開したりヤフオクで売っている人もいるみたいですね。でも止めたほうがいいですよ。使ううちに穴が開いて事故の原因になります。

ここでハッキリ明言しておきます。試験機でいろんな計測をして、専用部材を開発できたFREELIGHTだから完成したんです。
  • BLAST Burnerと同じものを自作することは無理です。
  • 市販の接着剤で使用に耐えるものはありません。
  • BLAST Burnerを買って楽しんでくださいませ。
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BLAST Burnerは密閉加圧型のストーブです。動作としては自己熱でアルコール燃料を気化させて、気化ガスを燃料タンクに戻して加圧して、ジェット穴から噴出させる。噴出速度が速すぎて炎が消し飛んでしまうのを、パイプに当てることで防いでいる・・・というものです。
OPTIMUS 123Rのような動作と言えばわかりやすいかもしれません(気化ガスを戻すところはちがう)。123Rも過加圧になるとブローオフバルブから噴出して減圧しますよね。でもBLAST Burnerにそんなバルブは搭載できないので、使う人が注意してやらないといけないんです。
キャニスタ型ガス・ストーブもガス缶が熱くならないように、風防で全周を囲むようなことはしちゃいけないですよね。BLAST Burnerも密閉型の宿命である過加圧や過加熱による暴走や変形を防ぐため、風防で覆うことはできません。

このように、使う人がそれなりに気を使ってやらなきゃならない子なんです。使う人を選ぶ上級向けアルコールストーブ・・・そんなBLAST Burnerを、用法を守ってぜひ使いこなしてください、
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posted by tetk at 08:16|  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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