2013年01月07日

Capillary Forced Hoop Stove キャピラリ・フープ・ストーブ

前回のエントリで、Hoop Stove の再定義を試みた。
『環状中空気化室(フープ)を開放型バスタブ外周上部に持つ構造で、フープから気化アルコールをジェット噴出させるアルコール・ストーブ』
要するに「ストーブ上側に配した中空フープをバスタブ炎で熱し、フープ内でアルコールを気化させてジェット噴出を得る」ということ。

伝統的なオープンジェット(副室開放型)は燃料全体の温度が上がるまでジェット噴出が始まらない。気化室となる副室が燃料タンクを兼ねている構造上の仕様だ(強いて言うなら欠点)。一方フープ型は、気化室となるフープが基本的にドライ(乾燥)である。フープへ適量の燃料を継続的に送り込み、気化しやすい環境を作り出す。だから立ち上がりが早い。課題は適量の燃料を如何に送り込むかにある。

この課題を CF ウィックで解決したのがオリジナル・フープ。性能面でこれを超えるものをいまだ作り出せていない。しかし手間や材料入手など工作ハードルが高いのが難点だ。Pipeless HoopRift Stove はウィックを排除する試みでもあった。しかし内炎化 Pipeless は燃費が悪く、風の影響も受けやすい。Rift はそもそも内炎化ができない。
CF(パイプ)、Groove(溝)、Rift(切れ目)と来て、4 番目に着目したのが毛細管現象。これはスチール缶がアルミ缶より僅かに細いことを利用している。毛管現象を燃料吸い上げに採用した場合、フープ容積が小さいと爆沸現象(炎が「ボッボッ」と大きく噴出する)に悩む。ある程度のフープ容積でバッファを確保してやる必要がある。

なんて前置きが長いのだろう・・・私の備忘録なのでお許しを。
ここからが本題。

capillary_hoop_S3.jpg

キャピラリフープ第一弾は「ワンダ金の微糖GOLD」で試作した。動くことは動く。でもジェットが弱い。吸い上げ量が少な過ぎたようだ。かん合で隙間が塞がったらしい。
capillary_hoop_S2.jpg

そこで第二弾「キリンFIRE挽きたて微糖」。この缶の形をなんて呼ぶのか検索したら「ダイヤカット」と出てきて、しかもJAXA(宇宙航空研究開発機構)ロケット技術の民生利用なのだ。正式には「PCCPシェル」(Pseudo-Cylindrical Concave Polyhedral Shell)と呼ぶそうで、超ハイテクなデザインなのである。しかも商品名が「FIRE」って、なんとアルコールストーブにピッタリなネーミングであろうか(笑)
capillary_hoop_S4.jpg

立ち上がりは鉄の比熱の関係からかオリジナルより若干遅い。ワンダ缶版より燃料供給量も充分で、そこそこ力強い燃焼になっていると思う。詳細は動画で確認してください。

youtube視聴者の大半が海外なんだけど、入手して作ることができないんだろうなあ。

燃焼中もストーブを素手で持てる。沸騰していないアルコールが壁面を上昇するからだろうか? バスタブが沸騰しにくいということは、バスタブ燃焼も抑えられるわけだから、燃費性能向上に役立っていそうだ。

火力は 400ml @ 13℃ が点火から 6 分で完全沸騰。30cc で約 12 分燃焼だから燃費もかなり良い。オリジナルより 2 分長い(その分火力が落ちるんだけど)。短冊スカートと壁面備蓄燃料のおかげで最後まできっちりジェットから炎が噴出している。大変性能の良いストーブになっていると思う。
posted by tetk at 08:37| Comment(15) | TrackBack(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕の最新作は『オーソドックスなオープンジェットの内筒の外側にウィックを巻く』というものです。想像できますか?
内筒外壁でアルコールを気化させようという作戦です。ウィックの量と使用する缶しだいではオープンジェットなのに余熱5秒で本燃焼に移るストーブが出来ます。(すでにそんな構造のストーブがあったらゴメンナサイ。)
火力もそこそこ。
ジェット孔の大きさや数、缶自体の高さなど煮詰めなければならない課題は多いですが…(^_^;)

そこで高い技術とノウハウを持ったtetkさんに1つ作っていただきたいのですが…

Posted by ほりほり at 2013年01月07日 19:58
tetkさん  今晩は  m(_ _)m

> 商品名が「FIRE」って、なんとアルコールストーブにピッタリなネーミングであろうか(笑)

師匠、、、 素晴らしい。。。 ヽ(^。^)ノ

ファイヤーですねぇ〜…(^^♪
Posted by sijimi001 at 2013年01月07日 22:36
ほりほりさん
副室にCFやスチールウールを詰める作例を見かけますが、入れる量を少なくするパターンなのかな? 私も詰めたことありますが、メリットを実感できませんでした。
ウィックがジェット孔に接するくらいだと、ウィックジェット的な動作になるのかなと想像してますが・・・。

オープンジェットのジェット数って、好みが反映されますね。ワタクシ的には太缶で1mm-20個、細缶で1mm-16個に落ち着きました。
Posted by tetk at 2013年01月07日 23:24
sijimi001さん
GOLDよりFIREですよ!(笑)

ただ、素材がスチールってところが引っ掛かりますね。錆の問題と加工性がちょっとね。細缶で、しかも日本でしか作れないパターンなところも。

次作では、太缶/細缶、内炎/外炎どの組み合わせでも、オートウェルドさえあれば世界中で作れる方式を開発します。
Posted by tetk at 2013年01月07日 23:33
副室に詰めるのではなくあくまで内筒に巻く感じです。
余熱開始時のわずかな熱でもアルコールを気化できるようにグラスウールを薄ーく巻きつけています。吸い上げる量が多いとその分余熱が多く必要になりますので!
例えるならば焼いた餅に海苔を巻いて醤油をつける感じ?です(-.-;)。
高さは内筒の80%ぐらいまでの高さにしておかないと生アルコールが飛び出します(°□°;)!!

では
ありがとうございました。
Posted by ほりほり at 2013年01月08日 05:09
ほりほりさん
気化促進パーツですね。CFだと厚過ぎるでしょうから、別の素材でしょうか? 立ち上がりだけじゃなくてジェットもウィックが無い時より強くなっているんじゃないですか?
そう言えばVapor Turboと称して超メンドウな構造で気化促進を図ったことがありました。目視じゃ違いがわからなくて、画像/映像でやっと確認できる程度の微促進。なぜかアメリカ人の受けがいいのが不思議です(笑)
Posted by tetk at 2013年01月09日 13:20
>余熱5秒で本燃焼へ移る。

これはどういうことなのか?よく理解できません
バスタブだけに着火、5秒間ほっておくとジェットから噴出開始
なのでしょうか?写真があれば、URLを教えていただけませんか
言葉での理解だけに困難しています

ps:8℃での、消毒用アルコールの燃焼テストをあえてやってみましたが着火に苦しみました(痛)炎は中央が黄色になりますが
鍋にススは全く付きませんでした。ほとんど実用にはならない
のが、10℃以下の冬季の気温です(笑)

素敵な、毛細管現象はどの形状で起きるのか?
矢羽根みたいなものを実験中(爆)
Posted by JSB at 2013年01月21日 01:00
内壁にグラスウールを巻き付けたタイプはバスタブのアルコールに点火後約5秒後にはジェット孔から本燃焼が始まります!
ダブルウォールオープンジェット(tetkさん命名ありがとうございます)はまだ10秒位はかかっちゃいますf^_^;
もうちょっと改良しなくては。
皆様とますますの交流を深めたいと思いブログ始めましたのでもしよろしければご覧ください(^_^;)。
http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/1817463/1826726
今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m。
Posted by ほりほり at 2013年01月22日 08:55
ほりほりさん
グラスウールですね。以前副室に詰めたことあるんですが、その時は効果を確認できませんでした。詰めるんじゃなくてウィック的に使うTIPS、素晴しいです。

Blog開設おめでとうございます。こちらこそどうぞよろしくお願いしますね。
Posted by tetk at 2013年01月22日 13:45
スキマを形作るのに、ダイアモンドは
もう作ってしまった(汗)

こんどは、山の形にしてみます
紋章学のほうでは、Chevron:シェブロン
というらしい。

保護と信頼出来る働きを成した建築家その他の者
を意味するみたいです

希望的観測ですが(笑)そういう指向で
頑張りたいです。斜めの吸い上げ路であれば
なんでも良いかぁな気分ですけど(爆)
Posted by JSB at 2013年01月30日 17:55
JSBさん
「ナナメ」・・・折り曲げで表現するのが難しくて諦めてますが、RIft Stoveみたいな切れ込みなら可能かもしれません。
また試して見なければならないアイテムが増えてしまった(笑)
Posted by tetk at 2013年01月31日 14:30
あなたの作り方を参考に、私もアルコールストーブを
作ってみました。火力はなかなかだと思います。
http://minkara.carview.co.jp/userid/210789/blog/
Posted by マグおじさん at 2013年02月04日 22:53
貴殿の作り方を参考にして、私もアルコールストーブを
作ってみました。
火力は中々ですが、銅管を使ったので重さは75gと
重くなってしまいました。
Posted by マグおじさん at 2013年02月04日 22:59
マグおじさん さん はじめまして コメントをありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします。

なかなか凝った構造で豪快ですね。私の五徳ジェットとコイルジェットに近いのかな。

50cc 7分台とは暴走しているのでは? ポットを直置きすることで、熱帰還が増え過ぎているんだと思います。
私が目安としているのは10ccで3分、50ccなら15分の燃焼が安全でちょうど良いんじゃないかと。その分火力が落ちて、400ml沸かすのに6-7分かかるようになってしまいますが、13-15分くらいになるようにデチューンされた方が安全と思います。

コイルジェットは完全密閉しない方が良いです。熱くなると内圧が上がり、さらに熱くなってもっと圧が上がるという連鎖に陥って暴走に至ります。
例えば安全弁と給油口のネジをやめて、給油口は穴を開けるだけにする。給油したら10円玉を載せて蓋にするというのはどうでしょうか? これで蓋と安全弁を兼ねられると思います。(それでも暴走に至ってしまうと想像してるんですが)

熱帰還のかけ方をバランス取るのって難しいんですよねー。コレっていう方程式を私も見つけられてないです。ポットの直径、風防の有無で条件が変わってしまいますしねえ。
ぜひバランス点を見つけ出してください!
Posted by tetk at 2013年02月05日 05:01
暮らしの手帖、みたいに
此処のサイトで観たりしたヒントが、そのときは忘れかけていても、、
いつか悩んだ挙句に、
、なんだぁ、ここに既に書かれていたんだぁ!
 なんて 苦笑している自分姿を発見します

”フープは 何時も 乾いている”

あの言葉は、重かった(苦笑)そして
深い意味を 訪ねて 訪ねて、、、新しい仕組みに出会った
とても再認識した

アルミ缶の絶妙な斜め面の、組み合わせの 痛快な面白さ
アルスト沼 どっぷり☆☆☆
Posted by JSB at 2013年02月08日 02:06
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/311911603
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
Google+