2012年07月19日

riku's Micro Hoop Stove

新進気鋭のアルコール・ストーブ・ビルダーである riku さん作の Micro Hoop Stove
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拙作の Hoop Stove と交換っこで我が家へやってきた。

ウコン缶から作り出されたそれは、もはや空缶から作り出されたとは思えない。ここまでの完成度を見せる"空缶ストーブ"は、この世に存在しないのではないだろうか。

ウコン缶の加工は難しくて手間がかかる。塗装を落とすだけでペプシ缶の倍以上の労力が必要。それを艶かしく輝くまで磨き上げている段階で、もはや完敗。
さらに Hoop Stove は最適なバランスを見つけ出すのが難しい。パイプ数とパイプ径/ジェット数とジェット径が、缶のサイズごとに異なるのだ。
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riku 氏が家族総出で浴びるほどウコン飲料を消費して突き詰めた仕様であることが、完璧な燃焼を見せる Micro Hoop Stove から容易に想像できる。

トルネード燃焼を得やすい缶径ってのが経験上存在し、ミニ缶が最も容易だ。レギュラー缶(ビール缶サイズ)だとジェットを強くしないとボンヤリした回転に終始する。ミニ缶は誤魔化しやすい。ウコン缶はジェットを絞った上で噴射角度の加工精度も求められる。こういった難しさを知っているから、なおさら riku's Micro Hoop Stove の"突出感"を強く感じる。

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もはや異次元の加工・・・1.6mm ステン棒を叩いて潰してネジ穴を設けるなんて真似したいとも思えない領域。1mm 版の捻り加工なんて言わずもがな。コンマ何ミリ単位で曲げ位置を変えるなんて神業に近い。

火入れを躊躇するくらいの出来栄えではあるが、意を決して運転してみた。

私なりに最大限の敬意を表して、秘蔵の Titanium Goat 550ml Ti Mug を試験に供した。やはり個人的基準である 13℃ 400ml の水が、アルコール消費 17cc 程度 7 分 40 秒で沸騰する。この小ささでこれだけの火力を、燃料消費率を下げずに引き出しているところが凄い。
10cc 版だとさすがに 2 カップはつらい。こちらは一杯の珈琲用にベストな感じ。特別な場所でスペシャルな火器を楽しみながら、格別な一杯を楽しむためのストーブだ。

私の Hoop Stove が万人向けでラフな使用や気楽なキャンプ用途が主眼なのに対し、Micro Hoop Stove はミニマムを強く意識しているのがわかる。使い手を選ぶ側面もあるかもしれないが、製作者の意図やセンスがヒシヒシと伝わってくる魅力的な素湯舞(copyright JSBさん)であることに間違いない。
posted by tetk at 23:12| Comment(5) | TrackBack(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このような素晴らしいカタチでご紹介頂けたこと、本当に光栄に思います!

「ライトパッキングに適性、スモールクラスにしては高い燃焼効率、最小携行の燃料で十分な使用が可能な低燃費性能、ポット荷重に余裕を持たせる高い剛性を持つ固形燃料も使用可能なポットサポート、それらをバランス良く両立させた自分自身のための最良のコンパクトストーブ」 これをコンセプトに製作したのがこのマイクロフープストーブです。

私は開発者ではありません。「コンパクトストーブに最良の燃焼機構を」と自らが選択し、最終的に辿り着いたのがtetkさんの傑作であるフープストーブでした。確かにマイクロフープストーブの収束率の高いトルネード燃焼を適化させることは非常に難しい作業でしたが、私がハウツー動画などを公開しないのはそのためです。

日本の自作アルコールストーブのテクノロジーは多くのパイオニアの情熱により日々進化してます。それと同時にホームメイドながらその製作技術も飛躍的に進化しているのではないかと考えます。

単なるコピーではない、性能や使用用途に拘る日本人ストーブビルダーが作った1つの具体例、そのように捉えて頂けたら嬉しいです。
(youtube動画コメント引用)
Posted by riku at 2012年07月20日 17:51
rikuさん

「ライトパッキングに適性、スモールクラスにしては高い燃焼効率、最小携行の燃料で十分な使用が可能な低燃費性能、ポット荷重に余裕を持たせる高い剛性を持つ固形燃料も使用可能なポットサポート、それらをバランス良く両立させた自分自身のための最良のコンパクトストーブ」

↑ コレ、超欲張りなコンセプトですよ! 皆これを目指すけど途中で妥協したり放棄したり・・・(笑)。

バランス取りが難しいのを知っているから言えるんですが、ウコン缶サイズを切り開いて開発したのは間違いなくrikuさんです。サイズ違えば別物の難しさがありますからねえ。私は既存ウィックジェットの構成方法に一案を追加しただけ。自分で突き詰めたのはミニ缶サイズだけだし。わざわざ「tetkの〜」なんて前置詞を書く必要なんて無いですよ。

ステキな素湯舞をありがとうございました。
Posted by tetk at 2012年07月21日 14:56
rikuさんのストーブはとても素晴らしい作品です
あの高精度などは、もはや自作という次元のものを
超えていると思います
さらに
、そのストーブの詳細を漏らさず広く多くの方々に紹介する
素晴らしい動画を公開していただきありがとうございます。
た。分かりやすくて素敵です。良さが一段と魅力的に映えます
おもわず、見とれていました。

Posted by JSB at 2012年07月24日 14:17
rikuさんの、ストーブは素晴らしい
自作という次元を超えた高い精度で収納組立される
そして
その魅力を余すことなく紹介したこの動画も
もちろん素敵な仕上がりになっています
ミニサイズの hoop stove の代表的な例として
おおいに参考にされることになると思います

ps:こういう素晴らしいモノを共有出来ることに
   感謝と喜びを感じています。
 心からありがとうございます、と
rikuさん、tetkさんにお伝えしたいです
Posted by JSB at 2012年07月24日 14:42
JSBさん
ほんと素晴しい工作です!

過去の様々なストーブ(灯油とかWGを含む)、多くの人のアイディアやtipsの上に成り立っているものですから、rikuさん含め私も包み隠さず公開して行きます。

そもそも飲料缶でアルコールストーブを作ることを思いついたのは誰なんでしょうね? その人がいなければ始まらなかった。オリジナルだ何だと吠えても、結局「空缶でストーブを構成する」というアイディアに基づいている。こうしたことを忘れずに精進しますです。
Posted by tetk at 2012年07月24日 14:57
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