2020年05月24日

Road to Super Penny Stove その 3

今回もまたボツかと頭をよぎりましたが、そこは諦めの悪い私ですから、思いついた案は全部やってみなけりゃ気が済まない。たとえ失敗でも、"この方法はコレコレこういう理由でダメ"という経験が蓄積されるはず・・・そう考えられなきゃ長くアルコールストーブの研究なんてやってられませんよ(笑)

そこでトライしたのが、ストーブの中心部でなく周辺部で気化をさせ、燃料タンクの気化ガスを副室へ送り込まずに圧抜き孔から逃がす、という動作バージョン。

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この形の缶だとジェット炎の向きが横すぎるし、気化促進の仕組みをインストールするのが窮屈過ぎる。

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これもジェットが横向き傾向。缶底を反転させ予熱用プールのために中心部だけ元に戻すという凝った細工をしたけど、それは蛇足だったかも。

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太缶(直径66mm)とは気化の仕組みは異なるが、アイディア検証のために作ってみた細缶(直径53mm)バージョン。気化機構は太缶版の方が効果的。

着火はターボライターで 20 〜 30 秒炙ってやればOK。手持ちでも可能です。
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燃料全体が沸騰する必要なく本燃焼が始まるので、火だるま予熱からは大幅に進歩したと思う。
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圧抜き孔からの炎があるからペニーストーブのような"純トルネード"にはなっていないけど、バスタブ燃焼じゃない分かなりスッキリしたと思う。
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もちろん低温下でもちゃんと本燃焼する。気化機能を組み込んだトップ外周部さえ高温なら機能するのだ。
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加圧型アルコールストーブをカルデラコーンのような完全に覆ってしまう風防と決して組み合わせてはいけない。耐熱暴走性を確認するための実験の一コマ。ジェット炎も圧抜き孔の炎もかなり大きくなるが、何度実験しても暴走しなかった。かなり圧抜き孔が効いていることがわかった。
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今回の2ヶ月に及ぶトライアンドエラーで、一歩、夢のスーパーペニーストーブへ近づけたかなと思う。ただし、現在の最高到達点ではあるが、タンク内の気化ガスを圧抜き孔から放出させるという、ある意味"逃げ"の方法であることも確か。何かブレークスルーが欲しいな。

もう一回くらいジェット炎を調整した"見栄え"バージョンを作るかもしれないけど、機構的な進歩バージョンは数年先か一生無いか・・・。とりあえず現在の最高到達点と思って見てください。
posted by tetk at 08:32| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月17日

Road to Super Penny Stove その 2

ペニーストーブのような単室加圧型はもちろんのことオープンタイプの副室加圧型でも、投入した燃料全体の温度が充分上がらないと気化が始まりません。だから本燃焼までの時間がかかるわけです。

燃料全体を沸騰させることなく気化をスタートさせる。例えば気化ターボみたいな仕組みを取り入れれば、立ち上がりはほんの少しだけ早くなります。まあ労多くして功少なし(立ち上がりに関してって意味ね)の範疇ですけどね。
さらにストーブ全体の温度が上昇すると、気化ターボは必要量以上の気化ガスを発生させる悪しき仕組みに逆転してしまいます。別に言い方をすれば、気化ターボは熱暴走促進装置になってしまうのです。

この辺りが密閉型での安定稼働と起動時間短縮―――すなわち容易な予熱―――との相反する課題点だと考えています。

いろんなサイズや形状の缶を眺めて取っ替え引っ替え組み合わせてみて、最初に思いついたのは上下2気室の構造にして、上側を気化室として使おうというものでした。

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失敗だったアイディア

下気室の燃料をCFウィックで吸い上げ、上側の気化室で熱帰還ロッドに巻きつけます。ロッドの熱で気化させて上気室をガスで充満させようというアイディアでした。下気室で発生した圧力は、CFの隙間を経由して上気室から逃がせるかなと思ってたんです。

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試作の一部(中部を作り変えて試験したりしてるから実際は2〜3倍)――全部失敗作

まあ見事に失敗でした。希望的観測よりずっと起動に時間がかかる。目論見より気化量が少ない。あまり役に立たなかった気化ターボみたいなもんでした。そのほかにも上気室の容積による変化や上下隔壁に開けたCF用穴径とCFサイズによる変化もありました。かなりクリティカル。作り方によっては過加熱時に気化しきれないアルコールが液体のままジェット孔から溢れ出てくるケースもあったんですよ。熱帰還ロッドがあるせいでまさに熱暴走促進装置でもありました。
posted by tetk at 10:28| Comment(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月16日

Road to Super Penny Stove その 1

コイルジェット・アルコールストーブの部材到着を待つ間に動画だけはなんとか編集してアップしましたが、ブログ記事が手つかずでした。トライ自体は3月に終わってたんですけどねえ。

ここから本題。

かれこれ 8 年も前の話ですが、密閉加圧式アルコールストーブの火達磨予熱をなんとかできないかと模索し始めました。RINNGOプロジェクトなんて称してましたね。

その後に開放型で給油の楽なウィック/パイプジェットを活用して、Petal Stove、Hoop Stove、CHSへと続いていきます。

一貫してトルネードにこだわり続けてますけど、バスタブ燃焼がある開放型のCHS系の炎の形が、密閉単室加圧型であるペニーストーブ(給油口をペニー硬貨で塞ぐことからこう呼ばれる)で作るトルネードには決して勝てない・・・と思ってます。純粋にジェット噴出だけで作られるトルネードはとにかくキレイなんですよ。だからバスタブ燃焼を"無駄燃え"なんて呼んだりしちゃうんですけど。
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密閉単室加圧型のキレイな炎

ただペニーストーブを使うには火達磨予熱を避けて通れない。内部のアルコール燃料全体が沸騰して(厳密にはそれに近い温度に到達して)気化が始まり、それがジェット炎となって噴出し始め、以降は自分の出す炎(と輻射熱など)で自分自身を熱し続ける・・・というのが動作原理であり、燃料温度を上昇させるためにどうしても外部熱源が必要になるのです。
多くの人がペニーストーブの周りにアルコールを垂らしてストーブごと炎上させるという予熱方法を使っているでしょうね。危険だしテント内では決して使えない。もちろん木製テーブルの上じゃご法度。スマートな人は、予熱用下皿を組み込んだり、外周にガラスファイバーやカーボンロープを巻いて使い勝手を改善しているでしょうが、まるごと火達磨にすることに違いはないですね。
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密閉単室加圧型の火達磨予熱

もちろん予熱過多でも、調理中の過加熱による熱暴走という危険もはらんでいます。
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過加熱で発生する熱暴走ーこの画像はまだ軽い方です

普通は炎の形なんて気にせず使い勝手だけでオープンタイプに走るんでしょうけど、ワタクシ的には形に拘りたいので・・・そもそもアルコールストーブにハマったきっかけが、穴が 1 mmズレただけで燃焼が変わるところが面白くて探求始めちゃったくらいなので・・・。

容易で安全な着火とキレイな炎の両立・・・永遠のテーマです。

つづく
posted by tetk at 09:17| Comment(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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