2016年08月22日

Noall Mountaineer II

名品 Noall Mountaineer II ・・・と言っても知ってる人なんてほとんどいないでしょうね(笑) Noallはアメリカ・カリフォルニアをベースにする知る人ぞ知るブランドでした。
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HP から blog になり、そして最近の SNS の傾向なんだと思いますが、掘り下げた記事ってなかなか見かけなくなりました。WEB メディアなんて他人の写真と文章の上っ面をなぞっただけだし(笑)。ここは世の風潮に逆らって Noall を解説していきたいと思います。

よく moss を称して「レア」なんて言う人がいますけど、世に出たタマ数で言えば数桁の差があるハズ。moss は日本へ正規輸入されていたし、なんたってあの REI や有名ショップでずっと販売されてました。そのうえブームでアメリカから大挙して中古品も流れ込んで来てるし、今やありふれたブランドの一つですね。
一方の Noall は Noall ブランドとして日本へ入って来ていません。さらに 1994 年から 2000 年のわずか 6 年程度と短命な上、アメリカでもほとんど流通に乗っていませんでした。これぞまさしく激レア
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そんな Noall のビジネスは、スティーブ・ノールとあのウェイン・グレゴリーが旧友だったことにはじまります。80年代前半にブレーサブル(通気性がある)生地でテストを重ね、生地に通気性を持たすより換気性能を高めた方がより有効に働くという結論を得ます。さらに PU コーティング面を moss のように外側にした方が、室内が結露しにくく、かつ、外側の水滴も流れ落ちやすいという結果も得ています(ちなみに Noall のダブルウォール・モデルは内コーティング)。こうしたテストをウェインと一緒にやってたということなんですね。( moss がずっと前からやっていた外コーティングの有効性を証明した? moss lover としてはちょっと鼻が高い。)

こんな経験を踏まえて 1980 年代末期にリリースされたテントは、基本的に Gregory の縫製工場でバックパックと一緒に製造されていました。販売も Gregory ブランドで行われ、日本にも 94 年頃まで A&F 経由で輸入されていたんです。なんと moss 並の高価さだったんですよ。まあ為替レートの関係で仕方ないんでしょうけどね。
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当時のA&Fの広告

その頃の Gregory Mountaineer II を私の友人が持っていて、ここにその詳細を載せています。
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Gregory Mountaineer II

ところが 83 年に Gregory が Bianchi International(自転車とは無関係の会社)に買収され、徐々にスティーブが離れていって、1994 年に Gregory ブランドから Noall ブランドに変わります。時期が悪かったんでしょうね。アウトドア業界がかなり辛かった頃ですし、ネット通販も花開く前でしたし・・・2000 年に WEB サイトもいつの間にか消えてなくなったそうです。

Gregory 版の Mountaineer II を見た時、テントとしての基本性能、居住性、使い勝手、デキの良さを充分感じました。陽に映えるターコイズ系の色もきれいでした。でも秋冬や夜に寒々しく感じてしまうんですよ。そこで色違いの Noall 版です。
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やっぱりタン色が好きなんだな〜。フロアやバイアステープの青緑色も落ち着いている。ちなみにこの色の組み合わせはコイツ以外見たことがない。

ホントよく考えてあるし、実際よく出来てる。サイズ的には moss の stardome を思い浮かべてもらえればイメージしやすいと思いますが、使い勝手に限って言えば stardome より数段上を行ってます。
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stardome のセンターポールを斜めがけに変えた感じ

● ポールスリーブに伸びるメッシュ素材を使ったきれいなアーチ
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● 浸水しにくいバスタブ式フロア
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● 使いやすい外メッシュでく開け方のバリエーションも豊富
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● 換気によく効く大きなベンチレーション
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● 出入りしやすい大きなドア
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● スリーブとフックを併用した容易な設営
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● イーストンポール
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3kg 後半の重さと収納サイズは 80〜90 年代そのもの。オールシーズン用ですしね。この時代のテントに入ると何故か安心感があります。私だけかな?

良いところだけでなく、気に入らないところも挙げておきましょう。

魚座型ポールワークの交差する箇所が下へ下へと移動して、交差の下側が横へ広がる。そのため特に地面から立ち上がった辺りの本体とフライシートの隙間が無いに等しい。せっかく本体下側に設けた換気メッシュもフライをかけた途端に効かなくなる。ポールの交差箇所をヒモで縛って上の方へ固定しておくと少しだけ改善可能。
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本体の同じ場所、フロアの短辺に当たるところの壁が見た目より寝ている。そのため 15〜20cm のデッドスペースとなり、データ上の全長より有効長が削られてしまう。そこへ物を置いたりするとフライシートまで届いてしまって結露の原因にもなる。

フライシートが本体と連結式でなく、ハトメにペグダウンする方式。本体 6 本、フライ 6 本のペグが必要。フック状のピンペグなら、本体を固定したペグに引っ掛けて固定することも可( 6 本で済む)。

全体としてまさしく私が好きな 80 年代後半から 90 年代前半のテントそのものです。当時メインストリームだったテントの良い所を全部放り込んで、さらにブラッシュアップした感じ。その上で徹底した結露対策を盛り込もうとした、意欲的で優れた 4 季用モデルだと思います。いや〜、なかなか気に入りましたよ。
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ラベル:テント NOALL
posted by tetk at 09:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 道具系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月10日

オープンジェット再び 気化ターボ内蔵型アルコールストーブ

アルコール・ストーブのネタ・・・いや〜実に1年ぶり以上ですね。
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アルコール・ストーブの基本形と言うか最も広く知られているのはオープンジェット、副室加圧型って呼ばれているタイプですね。真ん中のバスタブ部分の炎が自分自身を熱してアルコールを沸騰させ、副室で気化したアルコールをジェット孔から噴出させる・・・気化アルコールで副室が加圧されるから加圧型って呼んでるわけです。でもペニーストーブみたいな密閉加圧型(単室加圧型)に比べればだいぶ低圧。圧力の高低は吹き出すジェット炎の大きさで判断できます。

オープンジェットを高圧化するには、ジェット数や径を小さくしたり、あるいは気化量を増やす方法があります。気化量増大は副室の面積を大きくすれば良いのですが、すると本燃焼までもっと時間がかかることになってしまいます。副室にスチールウールやカーボンフェルトを詰めて毛細管現象を利用して気化量を増やすと、極々僅かながら気化量が増えます。しかしわたし的にはお勧めしません。スチールウールも含めて沸騰温度にしなきゃいけないですし、カーボンフェルトは熱を伝えにくいので、どちらも副室内の温度上昇が遅くなります。

起動速度(本燃焼開始までの時間)をあまり伸ばさず気化を促進していくには、ストーブへ組み込む内容物の体積や重量増を最小限度に抑えてやる必要があります。そんな仕組みへのトライは、こことかこことかここでもやっていました。

今回は350mlの太缶を使って、最も一般的なシルエットに仕上げます。ただし太缶は炭酸系じゃなくて珈琲のボトル缶限定です。そのココロは、150mlとかの細缶をそのまま内壁に利用するためです。炭酸やビール缶に細缶を入れても底まで届かずちょっと浮いてしまうんですよ。これ、ちょっとした、でも缶フェチの変態じゃなきゃ知らないノウハウ。

下写真右は内壁を継ぎ目のない細缶で作るフツーの副室加圧。左が毛管現象を利用した気化ターボ版副室加圧。
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この写真1枚で説明要らないんじゃないかな? すべてを物語っている画像ですヨ。

CHSに見えるかもしれないですけど、フープが無いので違います。フープは「バスタブ上部に設けたドライな環状気化室」って定義してますので。
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内々壁(ヒダヒダの方)と内外壁(背の低い方)で吸い上げた燃料を、バスタブの炎で気化させて副室の内圧を高めようというものです。動作的には副室加圧そのもので、単に気化促進機能を追加しただけと考えてもらえばOK。
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もちろん内炎でも外炎でも使える手法ですよ。
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ジェット噴出が始まるまでの時間は、フツーのオープンジェットの約半分。燃料沸騰前だと副室内の液体の燃料で気化ガスが冷やされてしまことと、フープに比べてかなり大きな副室内に充満するまで時間が掛かるので、CHS系より遅いです。それでもただの副室加圧より断然早い。気化量が増える分、燃料消費率も上がります。動画の内炎版で30ccを8分で燃やしました。

内炎版はeFREVOの加工方法を使って作ります。
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この方法だと全高を抑えたバージョンを作れますよ。↑ コイツで約27mm高。

副室内の気化ガスを処理するために、この構造でフープを用いませんでした。それにフープ型だと外炎版を作りにくいですしね。

いろいろ書いたけど動画を見るのが一番わかり易い。


個人で楽しむ分にはどんどん真似してもらってOKだよ〜。
posted by tetk at 15:01| Comment(3) | TrackBack(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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