2024年07月13日

Super Penny Stove 2024  スーパーペニーストーブ2024

単室密閉加圧型アルコールストーブ、通称ペニーストーブは、バスタブ燃焼がなく炎が綺麗で燃焼時間も長いです。私にとって"炎が綺麗"というのが惹かれるところ。

でもペニーストーブは、周囲に燃料を垂らしてストーブごと火だるまにして、中の燃料を沸騰させなきゃ燃焼が始まりません。アルコールストーブ使用禁止になったアメリカのトレールもあるそうで、多分ペニーストーブの予熱のせいで山火事に発展したとかが原因じゃないかと思ってます。

予熱の危険性だけでなく、燃焼中も過加熱で熱暴走する悪しき特性もあって、まさに使う人を選ぶ上級者向けアルコールストーブなんじゃないかと。

そんなペニーストーブを、安全簡単な予熱で、熱暴走の耐性が高く、氷の上でも使えるようにしたい!という夢に取り憑かれています。
いうわけで2024年現在の中間報告です。


過去作との特徴を比較するとこんな感じになるかと。
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今回も内部構造は非公開にさせてもらいますが、2020版に近いです。燃焼特性は、ペニーストーブのそれに近いものがあります。だから内部燃料が沸騰するまでの燃焼力は弱く、周囲からの輻射熱や反射熱に影響も受けやすいです。動画では炎を撮影するために風防を使っていませんが、使うと火力が上がります。逆に2020版で見せた氷水の中でも燃焼し続けるなんてことは無理で、ペニーストーブと同様に消えてしまいます。熱暴走へのある程度の対策は施してありますが、限度を超えるとジェット穴から液体の燃料がオーバーフローしてくる現象が発生します。まあそれでも結構高い耐性は持っていると思います。


2020年版

2021年版


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2024年04月08日

自動炊飯?  炊飯専用 Capillary Hoop Stove

ご無沙汰しておりました いやはや blogyoutube も半年ぶりの更新です。

友人でもあるスローパーズ坂戸の主人から「やってみなよ」と言われ、重い腰を持ち上げて開発を開始。かかった期間は3ヶ月弱かな。

巷で言われてる「自動炊飯」って、どこまでが自動なんでしょう?? 気温、水温、高度、風、炊く合数が毎回ちがうわけだし、さらにストーブを置く台(テーブル)の材質でも燃焼時間が変わるのがアルコールストーブです。最終的にはクッカーの様子を見ながら火から下ろしたり遠ざけたりの手動調整が必要と思ってます。

なので開発の方向性としては以下のような感じです。
  1. 高さは4cm程度までに抑えたい
  2. 強火時間は燃料の投入量で変えられる
  3. 強火から弱火への移行は自動
  4. 弱火は一定時間燃焼すれば良い
  5. 弱火時間の調整はクッカーを人が下ろすことで対応
そもそも完全自動化なんてできないと考えているんで、こんなもんでしょう。

キャンプで米を炊くことはほとんど無いし、山ではアルファー化米ばかりでした。ましてやトランギアのメスティンで飯炊きなんて35年ぶりくらいですよ。今さらアルマイトが傷ついてアルミ地肌が露出したメスティン飯なんて食いたくないですし。でも試験のために新しくメスティンを入手してがんばりましたよ(笑)




ま、それでも自動で火力が途中で落ちる機能は追加できたかな。
量産化はしませんよ。どうぞカット&エラーで自作を楽しんでください。
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2023年09月16日

アドレナリン・モード搭載 Adjustable Hoop Stove with ADRENALINE mode

今まで製作してきた火力調整可能なフープストーブは、ローとハイのどちらでも実用的な火力となるように、低火力側を重視した設計でした。トルネード炎が調整可能であることに満足していたのですが、どうにもドキドキ感やワクワク感やスリルが物足りない。アルコールストーブ中毒者の悪い症状です(笑)

そこでハイパワー時の実用性を捨てて、ローの時に十分以上の火力を提供しつつもハイの時は危うさを感じるほどのドキドキ感・・・すなわちアドレナリンが出そうな燃焼を持つ設定に舵を切りました。

まさに普通のアルストじゃ満足できない変態向けのアルコールストーブです。

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アッパーはいつものタリーズ缶ですが、底の形がフラットじゃない普通の形状缶。この缶にしたせいで、実はフラット底缶と微妙に違う外径とか、フープ容量が違うとかけっこう調整が必要だったんですよ。

ローの時に十分以上の火力を確保することと、ハイの時にビュービュー音を立ててジェットが千切れ飛ぶ状態を両立するために、ジェット穴は4個を0.6mm径と4個を0.7mm径の計8個としました。

燃焼がこんな感じ。
AdjHoopL_adrenaline_2s.jpg

上から見るとこんな感じ。
AdjHoopL_adrenaline_3s.jpg

ハイの時に、気化ガスがジェット穴から噴出しきれず燃料タンク内へブローバックします。ローの時はバランスよく燃焼している状況が確認できました。

そもそもハイ時の実用性を無視しているので、ハイは30秒以内に留めることを推奨します。
燃焼の様子や轟音、詳細な仕様については動画を確認してください。



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2023年08月12日

Hoop Stove L

太缶を使った Hoop Stove L を、仕様を変えて 4 種類作ってみた。
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変えたのは背の高さとジェット数。バスタブの開口直径はすべて同じにした。

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火力的な燃焼性能は完全にジェット数に依存する。高さは燃焼時間にだけ影響(当たり前!)。

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炎の様子はとても安定していてどれも必要十分。

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面白いのは、背が高い方は70mm五徳が、低い方は60mm五徳がマッチするということ。

燃焼の様子はyoutubeでご確認を。

10数年前に作った細缶バージョンのこんな感じの安定した燃焼だったなあと懐かしく思いつつも、物足りなく感じてしまう中毒者な私がいることも事実(笑)

posted by tetk at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月01日

爆速給湯チャレンジ - その10 - 165秒機 Super Hoop Stove 登場 - #FastBoilChallenge

昨年8月を最後に中断していた"爆速給湯チャレンジ"です!

中断の理由は、プロジェクト中にパイプジェットで火力調整が可能なことを発見してしまったからなんですよ。その成果が『Adjustable Tornado Alcohol Stove』や『Adjustable Hoop Stove - LARGE -』なんですね。

とにかくyoutubeで見てくださいませ。
性能と実用性の両立に近づいてると思いますよ。




posted by tetk at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) |  アルコール沼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月23日

太缶で作る可変トルネード・アルコールストーブ Adjustable Hoop Stove ー LARGE ー 


昨年(2022)9月に、通気量を調整することでジェット火力を可変できるアルコールストーブを公開しました。
構造上背が高くなってしまうんですよ。五徳も高くしなくちゃいけなくて、当然不安定になりがちですね。そこで燃料容量を確保しつつ全高を抑えるために、直径66mmの太缶で製作しました。

AdjTorLarge_01.jpg
左:細缶バージョン 右:今回の太缶バージョン

燃焼はおとなしめにして実用性を高めた仕様としました。火力を強くするなら炎を大きくすればいいんですが、クッカーを炎が包んでしまって上げ下げに危険が伴ってしまうのを避ける目的です。
AdjTorLarge_02.jpg
0.6mmのジェット孔を6個

穴径と穴数が小さいんで火力はそこそこってところです。

給湯時間に直結する火力としても、燃焼時間としても、HIGH/LOWで2倍近い差があります。
AdjTorLarge_03.jpg

2022年の細缶バージョンとほぼ同じ燃焼性能になってるかな。
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詳細は動画でどうぞ


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2023年03月31日

Walrus に関する備忘録

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Bob Swanson (ボブ・スワンソン)とGeorge Marks(ジョージ・マークス)によって1984年に設立されたアウトドア・ブランド。1965年に Sierra Designs を創立した2人でもあります。いわばアウトドア業界の伝説的な2人。60/40マウンテンパーカもこの2人によるものです。主にボブが開発、ジョージがセールス分野を担当していたそうです。80年代半ばに大きくなりすぎて自由に開発できなくなったシェラを辞めて、再び製品開発に集中できる環境を求めてWalrus, Inc.を創業したんです。ちなみにWalrusとはセイウチの意味で、髭面のジョージの愛称から名付けられているんですよ。

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ただビジネス的には苦戦していたんじゃないでしょうか? 1993年に小売業のREI社へ買収/吸収されました。そこから暫くの間、ボブはREI社がファミリーやオートキャンプ向きのテント・ブランドとして作ったArmadilloでデザインを担当しています。REI社は吸収したWalrus、Mossそして自社で作ったArmadilloのテント・ブランドをEdge Worksという子会社にしていたみたいですね。2000年に同じく傘下だったMSRにEdgeWorksを経営統合させ、翌2001年にMSRごとCascade Designsへ売却して現在に至ります。MSRのテント製品の多くは、mossよりもWalrusの影響や面影を強く残していると思います。

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Bob Swansonは2005年にBig Agnes社へTent Line Managerとして参加します。MSRとBig Agnesのテントに三叉式のポールワークが多用されているのは、発明者であるボブの影響なんですよ。まさにボブの異名でもある”ザ・テント・ガイ”の面目躍如ってところですね。残念ながら2016年にボブは亡くなります。いまでもアウトドア用品のアチコチに影響を残しているBob Swanson・・・レジェンドですね・・・ありがとう。

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参考リンク集:

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posted by tetk at 17:57| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

太缶で作るパイプジェット・アルコールストーブ

前回は細缶だったんで次は太缶。

Petal Stoveトルネードウィックジェットで散々やってきたから軽くできるって考えてたら、予想外に時間がかかってしまった。10年前と今じゃ満足のハードル高がだいぶ違ってきてんだろうなと。まあ中毒度が進行してしまっているわけです。

PROTO-1
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ちょっとやそっと炎じゃ面白くないだろうから、5mm径パイプを7本突っ込んでみた。パイプの曲げ径的に限界に近く、これ以上小さくしようとすると折れ曲がってしまう。ウィックはスチールウールを詰めている。ついでに"ターボ孔"も穿ってみた。

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激しいことは激しいんだけど、とっ散らかった炎に見えて好みじゃないかも。当然燃料消費も尋常じゃないくらい。主室開口径が大きすぎるのが原因で、ターボ孔を塞いでも調整幅は微々たるものだ。

PROTO-2
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パイプを一本減らして6パイプへ変更。それにともなって主室開口径も55mmから41mmへ大幅削減。

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燃焼自体はそんなに悪くないけど調整幅は予想より小さい。トップのパーツの使い方が火力調整タイプには向いていないのだと思う。

PROTO-3
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PROTO-2より曲げ径を1mm大きくして、主室開口径を47mmにした。シルエットは良さげ。

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燃焼は良い。ターボ孔が無いから大人しく見えるが、世間的には十分すぎるくらいの炎と火力を確保できていると思う。ただしターボ付きなら弱火相当だ。トランギアなんかより強い火力のくせに弱火なんて言えないよなあ。

FINAL
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PROTO-3のパイプ曲げ径(R=15)を1mm小さく(R=14)した。ターボ孔を開けた上で燃料容量を確保するために、パイプ長を10mm延長して90mmとした。開口径は42mm。パイプ長を短くすれば開口径も小さくなるから、弱火志向に振ることもできるだろう。

thickpipe09.jpg
うん、なかなかよくできたと思う。強火での給湯時間は着火から約3分(400ml 13℃)。実用的火力のアルコールストーブの中で最速の部類だ。ただしこのストーブの弱火は一般的な強火に相当するからそれほど実用的じゃないかもね。


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2023年02月25日

細缶で作るパイプジェット・アルコールストーブ

燃焼方式としては何の変哲もない極々シンプルなパイプジェット(ウィックジェット)アルコールストーブです。
  1. この材料で
  2. この寸法で
  3. こういう作り方をすれば
見た目も綺麗で各パーツがぴったりフィットするストーブが作れますよ・・・という一つの寸法例としてご覧いただければと思います。

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2023年01月28日

ダンロップ山岳テントのショックコード交換

確か1985年か86年頃だったと思う。初めてのマイテント。神奈川県鶴見にあるIBS石井スポーツで展示品を購入した。購入時はハーフフライ仕様で、後からフルフライシートを買い足しポール長を自分で調整した。10年くらいは登山でもオートキャンプでもこいつばっかり使っていたと思う。
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南ア仙丈ヶ岳山頂直下のテン場で大型台風の直撃を食らったとき、周りのテントがバタバタと倒壊したりポールが折れたりしている中で、朝まで安心して眠っていられた経験もあって、絶大なる信頼を寄せています。

ザックの横へポールを挟んでいくために、落下防止のループを自分で取り付けました。当時たまに見かけたんですよ、テン場に着いて「ポールが無いっ!」と慌てているパーティーが。
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もう40年近く昔のものだから、当然ショックコードは伸びきってしまってます。
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メンテナンスということでショックコード交換をします。
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ダンロップのポールは、石突きに固結びしたコードを通しているだけです。石突きの中で固着した砂・土・小石などを取り除いて、ピンセットやラジオペンチでショックコードをつまみ出します。そしたらコードを切って、抜いて、新しいショックコードを通せば終わりです。詳細はyoutube動画を見てください。


で、交換し終わったポールがコチラ。
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ついでなんでダンロップのテントについてちょっと。

張り方は至って簡単。4隅にペグダウンして
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ポールをグロメットに挿して
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フックを引っ掛けるだけ
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冬季用に吹き流し型出入り口を装備。実際ここから出入りしたことなくて、閉じた状態で外側に放り出して、そこへザックなどを放り込んでストレージにするという使い方ばかりでしたね。
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前後に装備されている通気孔。メガネや時計などの小物置きとして便利でした。
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床の穴。ここから雪をすくって水を作るとか、用を足すとか、掃除の際に使うとか言われてるけど、活用経験ありません。
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フルフライ仕様にして雨でも安心。そうそう、このダンロップはPUコーティングとか一切無いんで、基本的に劣化しません。だから今でも現役でテン場で見かけるんでしょうね。ちなみに雨漏り経験は無いですよ。
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流石にフライシートのゴムは伸びきってしまってます。気になるなら外側へペグ打ちゃ済む話です。
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山岳テントだから視認性重視のドギツイ青。早朝出発を促すために朝寝できない目に痛いオレンジ。とってもよくできたテントです。
posted by tetk at 16:44| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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